地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱と地域熱供給の動向③

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地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱と地域熱供給の動向③

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建築設備と配管工事 2026年8月増刊号
2026年2月にグリーン購入法に「地中熱利用システム」が追加されたり、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」でクローズドループ方式のコスト要件が緩和されたりした。建築物省エネ法改正やZEBの推進など、地中熱に対して期待と重要性が高まっている。地中熱の動向など関連する事項も紹介する。

B5判 本文108ページ
2026.8.10

◆目次◆

■特集:地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱と地域熱供給の動向③
○〔巻頭言〕地中熱を中心とした再生可能エネルギー熱の動向・特集第3弾にあたって
/東北文化学園大学(元・福島大学) 赤井仁志
2026年2月にグリーン購入法に「地中熱利用システム」が追加されたり、「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」でクローズドループ方式のコスト要件が緩和されたりした。建築物省エネ法改正やZEBの推進など、地中熱に対して期待と重要性が高まっている。地中熱の動向など関連する事項も紹介する。
○環境省の地中熱利用に関する取り組み
/環境省 鈴木清彦
環境省では、2050年ネット・ゼロを目指し、省エネに貢献する地中熱の普及を促進している。具体的には、地中熱の知名度や理解度の向上のため、懇談会を開催している。また、地下水・地盤環境の保全と地中熱利用システムの導入が可能となる地下水揚水規制の見直しを行っている。
○再生可能エネルギー熱利用に係るNEDOの取り組みについて
/(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構 馬場惠里
再生可能エネルギー熱の普及拡大を目的に、NEDOのこれまでの技術開発から、現在実施中の「再生可能エネルギー熱の面的利用システム構築に向けた技術開発」までを、政策的背景等とあわせ紹介する。
○福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会 熱利用分科会の活動
/(国研)産業技術総合研究所 冨樫聡
本稿では、国および福島県における再エネ関連政策の相互関係性を踏まえつつ、2012年に設立した「福島県再生可能エネルギー関連産業推進研究会」の事業活動の一環となる熱利用分科会ならびに関連する諸活動・取り組みについて紹介する。
○再エネ熱利用と地域効果
最上町木質バイオマス熱利用にみる熱供給事業の成立要因
/尚絅学院大学 東愛子
本稿では、山形県最上町の木質バイオマス熱供給事業を成立させた仕組みを考察する。最上町では、地域資源や自治基盤を活用する形で熱供給システムが接続するようデザインされ、森林整備、少子化対策、地域包括医療などの地域目標に総合的にアプローチする自治システムが働いている。
○地中熱利用を伴う建造物ZEB化の環境経済過程
/明治大学 大森正之・関口夏希・葛西結愛・間島かれん
地中熱利用を伴うZEB化建造物を気候変動対策のための「負性緩和財」とする。また地中熱利用システムを土地と合体した脱炭素型「土地資本」、同システムを伴うZEBを脱炭素型「建造物資本」と見なし、両「資本」の主導する環境経済過程における減価償却費と運用費の変動要因を検討する。
○海外での地熱・地中熱による地域熱供給の現状
カーボンニュートラルに向けて
/(特非)地中熱利用促進協会 笹田政克
ヨーロッパ諸国での地熱・地中熱を用いた地域熱供給の現状を取りまとめ、わが国の地域熱供給の参考になる点について検討した。対象とした国はデンマーク、スイス、オランダ、アイスランドであり、主に第5世代の地域熱供給と深部地熱水について検討した。
○スウェーデンにおける熱のトランジション
地中熱と地域熱供給はいかに社会インフラとなったのか
/宇都宮大学 高橋若菜
スウェーデンでは、地域暖房と地中熱ヒートポンプを中核に熱の脱炭素化が進展してきた。本稿では、その歴史的展開をたどりながら、熱供給が福祉国家形成や都市計画と結びつき社会インフラ化した過程を考察し、日本への示唆を探る。
○オランダにおける帯水層蓄熱 (ATES) の状況
/日本地下水開発(株) 桂木悠希・山谷睦・桂木聖彦
帯水層蓄熱(ATES) は地下水を季節間蓄熱に用いる省エネ性の高い空調技術である。本稿では、ATES先進国であるオランダの普及の背景を自然条件と政策の両面から概観し、面的利用の実例を紹介するとともに、日本国内での普及に向けた課題と展望を考察する。
○多様な施設の地中熱利用事例
ロジクロス名古屋みなと・アヲハタジャム工場
/ミサワ環境技術(株) 重岡直紘・小嶋鯉登
地域熱供給を見据えた多様な熱需要への対応として、二つの地中熱利用事例を紹介する。物流施設(ロジクロス名古屋みなと)における空冷式とのハイブリッド空調運用と、ジャム工場 (アヲハタ) における製造プロセスの冷却利用を通じ、高い省エネ性とCO2削減効果を実証した事例を紹介する。
○『ZEB』施設への地中熱システム導入事例
新協地水(株)本社・再生可能エネルギー研究開発施設
/新協地水(株) 藤沼伸幸・幸田英顕
地中熱冷暖房システムを採用した 「ZEB」 施設を建築。空調を含めた省エネによる一次エネルギー削減率は2022年度実績66%と設計値52%を上回り、高効率な地中熱利用のメリットを体現する。小規模・中規模施設への地中熱利用の導入事例として情報を発信している。
○当別町における地中熱利用
太美地区における地下水熱の面的利用
/(地独)北海道立総合研究機構 白土博康・保科秀夫・多奈田紘希・鈴木隆広
北海道当別町太美地区に面的に広がる帯水層の地下水を採熱源とし、地上の需要群にエネルギーを供給する地下水熱の面的利用モデルを提案するとともに、各施設や住宅へ地下水熱利用ヒートポンプシステムを導入した事例について紹介する。
○東京都大島町における地中熱利用システムの導入
/八千代エンジニヤリング(株) 久我幸史・松井翔太
東京都の伊豆大島において、はじめて地中熱利用システムを導入した。地中熱利用システムの効率的な設備運用に伴う省エネ効果だけでなく、島しょ地域特有の空調設備に関する課題の解決にも貢献する“地中熱利用システムへの期待”について紹介する。
○再エネ熱(地下水熱・地中熱・下水熱)の魅力
/(株)興和 石田謙介
地中熱、地下水熱・下水熱といった再生可能エネルギー熱は、脱炭素化やエネルギー自立に寄与する有望な資源である。これらは年間を通じて温度が安定し、空調や融雪などに高効率で利用可能である。特に地中熱ヒートパイプ融雪は動力不要でCO2排出を伴わず、廃坑消雪用井戸の再利用など地域特性に応じた展開が可能である。本稿では、再生可能エネルギー熱の特性と利活用事例を紹介する。
○地域特性を活かす自然派空調システム
地下水熱や河川熱を利用する水冷HP式空調機&外調機
/木村工機(株) 石田俊介
空調システムの省エネルギー方策として、地下水熱や河川熱といった再生可能エネルギー熱の利用が注目されている。ここでは、建築物が立地する地域の特性を活かしつつ、ライフサイクルカーボンの削減にも貢献する「水冷HP式空調機&外調機」の特徴と、その採用事例を紹介する。
○潮汐変化を活用した水平型地中熱利用技術の開発
/三菱マテリアルテクノ(株) 谷口聡子
潮汐変化に伴う地下水移流に着目し、HDD工法と組み合わせることにより、沿岸域に適した新たな地中熱利用システムの開発を紹介する。実証フィールドにおいて熱交換性能向上の可能性を示す。
○YKK AP 30ビル
水循環と共生する杜の中のワークプレイス
/(株)日本設計 小山潤・星野秀明
当ビルは、YKK AP設立30年の節目となる2020年に建設計画を始めたプロジェクトで、富山県黒部市に建設した。執務者が自然のゆらぎの中で健やかに働くことができる杜の中のワークプレイスを目指し、地域の重要な共通資源である地下水に着目した環境・設備計画により、設計値・実績値ともに『ZEB』達成が見込まれる。
○JR九州社員研修センター
ZEB Readyを実現した建築設備計画の概要と地中熱利用の実績
/(株)安井建築設計事務所 小林陽一・山崎貢沢・高橋尚哉・神澤龍也
ZEB Readyを実現したJR九州社員研修センターの建築設備概要と採用した省エネルギーシステムとして利用者参加型自然換気システム、教室・実習室等の人感センサーによる外気取入量制御、空調システムの高効率化の概要および3年間の1次エネルギー消費量実績を示した。地中熱利用としてボアホール地中熱交換器を利用した地中熱利用システム、クール&ヒートトレンチによる地中熱利用システムについて運用実績を含め紹介する。
○清水建設 東北支店
東北地方の中規模オフィスに導入した地中熱利用の取り組み
/清水建設(株) 山本昌芳・成田政杜
清水建設東北支店は、地域特性を活かした新社屋で地中熱利用システムを導入。水平コイル、浅層らせんコイル、ボアホール方式を組み合わせ、各方式の性能を検証した。本稿は、省エネルギー技術としての地中熱利用の有効性を示す。
○地中熱利用を促進し、気候変動に適応する空調熱源計画
(株)ツカサ 本社ビルへの適用事例
/(株)竹中工務店 吉田淳
本稿は、地中熱利用を核とした熱源水ネットワークシステムを本社ビルに適用し、省エネルギーと排熱低減、気候変動適応を両立する空調熱源計画の考え方と、開発した地中熱利用技術の実装内容を紹介する。

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