■解説
〔ロボットビジョン〕
勝率100 %じゃんけんロボットの開発
/東京大学/山川 雄司・石川 正俊
本稿では、高速ロボットシステムの一例として、勝率100%の「じゃんけんロボット」を紹介する。高速ビジョンによる1ミリ秒での人間の手の認識と、高速ロボットハンドによる瞬間的な動作によって、必ず人間に勝つことができる。
〔生活支援〕
非接触型咀嚼センシング
/千葉工業大学/閔 弘圭・小川 祐司/千葉大学/藤井 知
千葉大学が実施している先進的マルチキャリア博士人材育成プログラムにおける技術完成力講義の延長として、咀嚼センシングという新技術創出の取り組みついて解説する。
〔商業支援〕
新しい消費体験の実現に向けた研究開発と取り組み
/楽天(株)/益子 宗
インターネットの登場やスマートフォン、ソーシャルメディアの普及にともない、我々の消費行動は大きく変化し、購買活動における「リアル」と「ネット」という2つの世界の境界は曖昧になってきている。本稿ではそのような消費行動の変化について述べ、次世代の消費体験を実現するための研究事例や取り組みを紹介する。
〔認識・検出〕
○事例データを用いた移動物体領域の抽出
/大阪大学 山本 文香・石黒 浩/鳥取大学 堀 磨伊也・岩井 儀雄
動画像から移動物体を抽出する問題において背景差分が広く用いられている。しかし、背景差分法では環境が変化した場合に精度良く移動物体を抽出することは難しい。この問題に対し、事例データを用いることで欠損部を補完し、安定して移動物体領域を得る手法を解説する。
顔形状による制約を考慮した線形回帰に基づく顔特徴点自動検出
/早稲田大学/松田 龍英・前島 謙宣・森島 繁生
顔画像を対象としたアプリケーションの普及に伴い、顔画像から特徴点を正確に検出する手法が求められている。本稿では、Linear Predictorsという手法に幾何学的制約を加味した顔特徴点検出手法を提案する。また、他の手法との比較実験を行い、提案手法の有効性を確認した。
方向マップと並列処理を用いた局所不変特徴量の抽出
/(独)産業技術総合研究所 市村 直幸
局所不変特徴量は、画像の対応付けや物体認識における基盤要素として幅広く用いられている。本稿では、方向マップというデータ構造およびGPU(Graphics Processing Unit)による並列処理を導入し、輝度勾配の方向ヒストグラムに基づく特徴量を高速に計算する方法について解説する。
〔画像処理〕
手描きの遺構実測図のベクトル化/茨城大学/梅津 信幸
考古学分野ではまだ多くの作業が人手によって進められている。本稿では、画像処理技術による考古学支援の現状について述べ、一例として方眼紙に手描きされた遺構実測図のベクトル化作業の自動化について解説する。
〔AR・VR〕
視点生成型学習による頑健な平面位置姿勢推定
/慶應義塾大学/吉田 拓洋・斎藤 英雄
画像同士を局所特徴で対応付ける際、カメラの位置や姿勢が大きく変化すると特徴量の差異によって同一点のマッチングに失敗してしまう。そこで様々な視点から対象を映したかようなパターン群を生成して局所特徴量を収集し、姿勢変化を考慮した学習法を提案する。
〔ディスプレイ〕
低次元色空間のための色変換技術<前編>
/名古屋市立大学 田中 豪・石 宝/山口大学 末竹 規哲
カラー画像のモノクロ化では、通常、明度成分をモノクロ画像のグレーレベルとする。しかし、この方法では、彩度や色相は異なるが同じ明度である色が同一のグレーレベルに変換されてしまい識別できなくなってしまう。色の違いを反映させるモノクロ変換技術について概説する。
〔基礎研究〕
○感性的質感認知への脳科学的アプローチ
/独)国立精神・神経医療研究センター/本田 学
感性的質感認知に脳科学からアプローチする場合の問題点について解説するとともに、人間の可聴域上限を超える高周波成分を豊かに含む音が感性的質感認知を顕著に改善する効果〈ハイパーソニック・エフェクト〉研究の中で筆者ら自身行ったアプローチを紹介する。
〔展望〕
○質感の科学をめざして/生理学研究所/小松 英彦
物と光の相互作用の様式を計測・解析する工学、心の中に生じる質感の特性を客観的に明らかにする心理物理学、及びそれらをつなぐ脳内情報処理の仕組みを解明する脳科学、の三つの分野が連携してはじめて質感の科学的な理解が可能になり「質感の科学」が生みだされる。
〔話題の製品と技術〕
高機能多目的スマートカメラ「NEXT-EYE」シリーズの
概要と展開について/オリエントブレイン(株)/南出 大介
拡散板を使わずに超高均一性かつ高輝度を実現した
次世代型ラインスキャンカメラ用LEDライン光源
/レボックス(株)/三留 正浩
超小型グローバルシャッターCMOSカメラ アイポックル
/(株)アイジュール/堀切 昇
■コラム:マルコーニの彼方へ 152
○それでもテレビはまだ死んでいない/ヤマネコ