環境浄化技術 2023年5・6月号 PDF版

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環境浄化技術 2023年5・6月号 PDF版

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■特集:下水汚泥の処理技術と利活用のための最新動向
○下水汚泥の最新処理技術の傾向と今後の方向性
/(公財)日本下水道新技術機構/藤本裕之
下水汚泥の処理技術の基本目的は「減容化」であるが、現在は維持管理のコスト縮減や脱炭素化への対応が加わり、省エネ、創エネが要求されるようになった。また、従来の下水汚泥「処理・処分」から、「処理・利用」へと大きく施策が変更されてもいる。本稿では、汚泥処理技術に求められるニーズである脱炭素化に触れ、このニーズに対応した技術を紹介する。さらには、今後の方向性についても紹介する。

○脱水汚泥の難脱水化の実態と低含水率型脱水機の性能状況調査
/日本下水道事業団/村岡正季
日本下水道事業団(JS)機械設備標準仕様書では、水処理方式、汚泥の種類、汚泥性状を設定し、脱水機種ごとに標準的な性能を定めている。しかし、近年は、JS標準汚泥に該当しない標準外汚泥を対象とする機種選定や能力評価を行うことも増え、従来型では下水道管理者の求める能力を満足できないこともある。そこでJSは、汚泥性状の経年変化や汚泥性状と脱水性能との関係性を明らかにすること、ならびに低含水率型脱水機の性能発揮状況を確認することを目的に調査を実施した。

○直胴型遠心脱水機(高遠心力モデル)の性能特性
/(株)クボタ/于 再治・名越収二郎・松井寛幸
難脱水性汚泥をも安定処理し、汚泥処理プロセスにかかる費用やエネルギーを削減するため、従来よりも遠心効果を高めて脱水性能を向上させた新型の直胴型遠心脱水機「高遠心力モデル」を開発した。本稿では、その性能特性について紹介する。

○重力濃縮槽からの繊維回収と汚泥貯留槽への繊維添加に関する現地実証試験
/(株)石垣/末次康隆・杤岡英司・山下 学
下水汚泥由来繊維利活用システムの導入コストの縮減を目的に、重力濃縮汚泥から繊維状物を回収する手法、および汚泥貯留槽へ回収助材を添加する手法について、実用化に向けた現地実証試験を行ったので、その結果を紹介する。

○JS新技術「SP IV型による濃縮一体化脱水法」
/(株)石垣/村岡 賢・金子 司/尾張旭市都市整備部/白木雄介・臼井政志
圧入式スクリュープレス脱水機(IV型)(SP IV型)による濃縮一体化脱水法は、濃縮設備を省略し処理工程簡素化による汚泥処理全体のイニシャル・ランニングコスト低減、CO2排出量削減、および返流水負荷軽減が期待できる技術として、日本下水道事業団との共同研究を経て2015年に新技術I類に選定されている。この技術を適用した実施設における運転稼働状況の調査結果を分析し、導入効果の検証を行ったので紹介する。

○低濃度汚泥用に開発した回転加圧脱水機IV型
/(株)巴工業/植村英之
回転加圧脱水機IV型は濃度1%程度(0.5 〜 1.5%未満)の低濃度汚泥を低薬注率かつ低動力で濃縮脱水でき、大幅な低含水率化が可能な技術である。本稿では、技術概要、および処理性能と導入効果について、従来技術と比較検証した結果を紹介する。

○汚泥性状変動対応型蒸気乾燥システムの開発
/水ingエンジニアリング(株)/小菅崇弘・伊藤哲也・片山岳史・今西智幸
下水汚泥の有効利用の一つに、汚泥を乾燥させて燃料や肥料として利用する方法があるが、汚泥処理の広域化・共同化では、複数の処理場から汚泥が集約されることによる汚泥性状の変動に対して安定的に乾燥製品を製造する必要がある。本稿では、脱水汚泥を集約処理する際に想定される投入汚泥の性状変動に対し、自動制御により乾燥製品の含水率を安定化させる蒸気乾燥システムの技術概要、および実証試験結果について紹介する。

■特集:脱炭素社会に貢献する省エネ型水処理技術
○ドロップワイズテクノロジーによる熱伝達率の向上
/栗田工業(株)/氏家章吾
当社独自の技術の一つである「Kurita Dropwise Technology」は、蒸気側から熱交換器の熱伝達の効率を向上させるという、これまでにないコンセプトに基づき、生産設備の生産性向上や、工場での多くのエネルギー割合を占める蒸気使用量の削減による省エネルギー(CO2排出削減)などに貢献する技術である。本稿では、技術概要、および各業種・設備での最新の導入事例について紹介する。

○5μm粒子を100%除去する繊維濾過装置
/協和機電工業(株)/上山哲郎・眞壁 良・波多晃希/長崎大学/板山朋聡
本稿で紹介する、高性能繊維濾過装置F-CAPの開発コンセプトは、繊維濾過が有する「高流速によって小さい濾過塔サイズでも大水量を処理できる=省スペース化」と、「高濁度水を濾過しても簡易な逆洗で性能が復帰する=高濁度対応」という特徴はそのままに、「凝集剤を使わずに数μmの微粒子も除去できる高い除去性能」として、2015年より開発を開始。2017年に基本特許を出願し、2018年に特許登録され、2019年より販売を開始した。

○水処理関連の課題を解決するシミュレーションソフト
/サイバネットシステム(株)/森 正明・羽邑光道・本江幹朗
本稿では、CAE(Computer Aided Engineering)の一つの分野である流体解析に着目し、Ansys社の流体シミュレーションツール「AnsysCFD」を利用した様々な事例とM-tech社の全体システムを解析できる、1Dシミュレーションツール「Flownex」を利用した事例を紹介する。

○EGSB方式を用いたネットゼロエネルギー型排水処理システム
/(株)愛研化工機/岩田佳大
工場排水をバイオマス資源ととらえた創・省エネ型排水技術であるEGSB方式を基本システムに、高効率なバイオガス回収と発電、および排水と発電機からの余熱回収により外部エネルギーが不要なネットゼロエネルギー型排水装置を開発した。本稿では、その技術の特長、導入効果、応用事例を紹介する。

■解説
○浄水場傾斜板沈降装置用制振装置の開発
/埼玉工業大学/皆川佳祐/(株)エース・ウォーター/山本哲也・髙橋和孝・倉田朋幸・髙橋雄太
大地震が発生すると、浄水場においては、池や配管フランジからの漏水、池のクラック、ポンプ芯のずれ、傾斜板の脱落・破損・離脱や固定金具ずれ・破損などの被害が発生する。特に、傾斜板沈降装置は地震時には沈殿池の壁面と衝突するなどして損傷が生じやすい。筆者らは傾斜板沈降装置が沈殿池と衝突することを防止する制振装置を開発した。本稿では、一般的な構造物の地震対策手法、開発した制振装置の基本概念、基本特性、制振性能を紹介する。

○海に流れあふれるプラスチックごみと最近の防止策
/惠谷資源循環研究所/惠谷 浩

■製品技術
○WTW OxiTop®による生分解性試験
/ザイレムジャパン(株)/Tao Su

■シリーズ
○フィールド・レポート
北極海の海氷を探る
/T.Tech.Office/田村真紀夫

■連載
○世界の列車のトイレ 第12回
ベルギーの鉄道
/NPO21世紀水倶楽部/清水 洽

■コラム
○これからはタイパの時代
/HST

○世界遺産の軍艦島における歴史的価値
/環境工学研究所/星山貫一

■製品ガイド
○蛍光X線分析装置
/編集部

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