超音波テクノ 2022年7-8月号 PDF版

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超音波テクノ 2022年7-8月号 PDF版

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■特集:超音波等を適用したプラントの保守検査1
○Lp距離空間におけるA0モードラム波伝播と欠損のイメージング
/佐賀大学/寺本 顕武
極座標系で表現された波動方程式を因数分解することによって導出される点波源拘束偏微分方程式を利用した非破壊検査手法を、CFRP積層板材中に生じた欠損の検出への適用を試みたものである。互いに直交する向きに繊維で強化された板材では、音源から等方的に振動が伝わらない。そこでこのような波動場をLp距離空間とみなし、波動伝搬を与えるグリーン関数を用いて、点波源拘束偏微分方程式を利用した非破壊検査手法の有効性を評価している。

○大型構造物の超音波固有振動励起技術
/滋賀県立大学/田中 昂・田村 空翔・大浦 靖典
超音波帯域の固有振動(超音波固有振動)の振動数で自励発振する局所フィードバック制御を用いた多点加振による大型構造物の超音波固有振動励起技術を紹介する。この加振法では、各加振点が自励振動子となり、これらの自励振動子が構造物を介して接続されている状態(自励振動子群)である。このとき、構造物の固有振動モードを介して自励振動子群の同期現象が発生する。その結果、各アクチュエータの加振指令が固有振動に合わせて自動的に調整され、超音波固有振動を励起することができる。

○加熱材の裏面状態モニタリングへの超音波パルスエコー法の適用に関する検討
/長岡技術科学大学/和田 眞治・小川 曜史・井原 郁夫/トヨタ自動車(株)/小山 友宏・青山 隆史
加熱材の裏面状態モニタリングへの超音波パルスエコー法の適用について基礎的検討を行った。本稿では、材料の裏面に液体が付着する場合、ならびにライデンフロスト現象が生じる場合について、縦波または横波を用いたパルスエコー計測に及ぼす液体の影響について調べた結果を紹介する。

○横波励起のモード変換縦波エバネッセント場に基づく暗視野映像法
/東北大学/小原 良和・大藪 陽太
散乱波や反射波などの伝搬波を用いる超音波イメージングの分解能は、一般に回折限界(約半波長)を超えることはできない。本稿では、超解像と高SN比を両立可能な、横波励起のモード変換縦波エバネッセント場に基づく超解像イメージング技術について紹介する。

■特集:CFRPに関する超音波溶着技術2
○ FRTPの超音波溶着と強度評価
/(国研)宇宙航空研究開発機構/武田 真一
超音波溶着は金属だけでなく樹脂の溶着にも利用可能であり、異種材料の接合が必要とされるマルチマテリアル化された製品群への適用も現在大いに期待されている。本稿では、適用実績の少ないFRTPの超音波溶着について紹介する。

○炭素繊維強化エネルギダイレクタを用いた熱可塑性CFRPの超音波スポット融着接合技術
/神戸市立工業高等専門学校/田邉 大貴
近年、一方向や織物などの連続した炭素繊維で強化された熱可塑性CFRPが次世代の輸送機器や産業機器に採用され始めている。本稿では、熱可塑性CFRPの超音波融着接合技術について、欧州諸国の研究事例を紹介し、著者らが取り組んでいる超音波融着接合の研究開発事例について紹介する。

■解説
〔圧電・超音波材料〕
○Pb(Ti, Zr)O3/Pb(Zr, Ti)O3における分極雰囲気の影響
/熊本大学/小林 牧子・日高 蒔恵・平川 康平・中妻 啓
ゾルゲル複合体の分極時における分極雰囲気が与える影響をPZT/PZTを用いて調査した。その結果、雰囲気に関わらず正のコロナ放電による分極では酸素欠陥による変色が発生すること、高湿度下では分極エリアが小さくなることが判明した。また、高湿度大気下における分極では、圧電特性が大幅に低下し、特に負のコロナ放電において顕著であることが判明した。

○分極反転ScAlN薄膜/高音速AlN、w-BN基板上を伝搬する高次モードRSAWの結合係数K2増大
/山梨大学/鈴木 雅視・髙野 佑成・垣尾 省司
ScAlN薄膜/高音速基板を用いたRSAW共振子の高性能化を目的として、2層分極反転多層構造ScAlN薄膜/AlN、BN基板上を伝搬する高次モードRSAWの理論的な検討、2層以上の分極反転構造での境界位置最適化による高次モードRSAWのさらなる高結合係数化について紹介する。

○交流分極した鉛系ペロブスカイト型単結晶の誘電・圧電特性
/富山県立大学/孫 億琴・山下 洋八・唐木 智明
リラクサーPT系圧電単結晶交流分極の現状、原理、課題を紹介する。交流分極により誘電・圧電特性が30%以上向上した。ただし、過剰な交流電圧印加はスプリアス振動を誘起してしまう。

〔強力超音波の応用〕
○超音波によるマイクロカプセルの破壊
/東京工業大学/杉田 直広
48MHz帯の超音波照射により、内部にガス気泡を含む中空マイクロカプセルを破壊することができる。本稿では、カプセル群の可視化手法を紹介し、カプセル群の数密度が破壊効率に与える影響を示す。

〔超音波基礎〕
○FDTD法の初歩
/同志社大学/土屋 隆生
FDTD法による線形音波伝搬解析の初歩を紹介する。はじめに、スカラー型FDTD法とベクトル型FDTD法の違いについて紹介し、標準のFDTD法の高精度版であるCE-FDTD法を導入し、各種FDTD法の数値的な特性と計算機資源の関係などを示す。

〔超音波計測〕
○ピコ秒超音波法を用いたタングステンカーバイド単結晶・合金の弾性特性の評価法
/大阪大学/長久保 白・木元 万聡・荻 博次
遷移金属化合物を用いた超硬合金の開発が進んでいるが、単体としての物性値は未解明の部分が多い。特に弾性定数は原子の本質的な結合力の強さを反映する上に硬度や強度とも相関がある重要な物性値だが、ナノスケールにおける計測が困難なため正確な計測が必要である。本稿では、ピコ秒超音波法を用いたWC粉末・合金に対する計測例について紹介する。

〔レーザー超音波〕
○レーザー生成空中超音波におけるターゲット材料と構造の影響
/金沢工業大学/會澤 康治
非破壊・非接触検査では高強度の空中超音波源が求められる。本稿では、パルスレーザー照射により空中に放射されるパルス音波において、光吸収材の種類や構造が音波強度に及ぼす影響について調べた結果を紹介する。

〔医用超音波〕
○超音波三次元再構成における 2方向スキャンによる分解能向上
/富士フイルムヘルスケア(株)/山川 恵介・竹島 啓純・田中 智彦
超音波装置を用いたカテーテル治療では、治療中のカテーテル位置や組織構造把握のための三次元画像の作成が必要である。従来の一次元アレイ探触子はスライス(矢状断面)方向の空間分解能が不十分であり、治療中の判断に影響する課題があった。そこで、スライス方向の空間分解能向上を目的として、アレイ探触子の位置を計測しながら互いに垂直な2方向に順次動かし、両方向の計測データを位置合わせ後、合成する2方向合成処理法を提案した。垂直関係にあたる2方向の計測データを位置合わせ後、合成する2方向合成処理法を提案した。ファントム評価により、表面からの深さ50mmでスライス方向の空間分解能3.3 mmとなり、下肢血管の判別基準である目標誤差5.0mm以下を達成した。以上から、提案法により、超音波ガイド下治療の位置推定精度を向上できる見込みを得た。

○超音波速度変化イメージング法の生体への適用条件の検討
/大阪公立大学大学院/和田 健司・園田 華・南 裕貴・伊藤 祐輝・松山 哲也・岡本 晃一/TU技術研究所/松中 敏行
超音波加温を用いた超音波速度変化法を生体組織模擬試料やヒト前腕部に適用し、Bモード画像ペア間の時間差を適切に設定することにより、いずれも温度変化情報を反映した超音波速度変化画像を描出することに成功した。

○超音波照射によって海綿骨で発生する圧電信号の数値シミュレーション
/明石工業高等専門学校/細川 篤
圧電FDTD法(時間領域差分法)を用いて、超音波照射によって海綿骨で発生する圧電信号の数値シミュレーションを行った。本稿では、骨梁配向が圧電信号に及ぼす影響について検討した結果を紹介する。

○超音波エコー信号の統計量による適応ビームフォーマの制御
/富山大学/赤松 拓未・大村 眞朗・長岡 亮・長谷川 英之
医用超音波イメージングでは、画質向上のために最小分散(MV)ビームフォーマが研究開発されている。本稿では、受信した超音波エコー信号の統計的性質の違いに基づいてMVビームフォーミングにおける対角項負荷パラメータを決定する方法を提案し、ファントム実験により従来のMVビームフォーミングよりも良好な画質がえられることを紹介する。

○FDTDシミュレーションによる層構造がせん断波速度評価に与える影響の検証
/千葉大学/山口 匡
筋肉のように多層構造を有した媒質におけるせん断波伝搬の詳細について、計算機シミュレーションによる再現検証を行い、組織構造がせん断波の伝搬速度評価に与える影響を確認した。

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