超音波テクノ 2021年7-8月号 PDF版

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超音波テクノ 2021年7-8月号 PDF版

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■特集:医療で拡がりをみせる超音波技術2
○徳島県における胎児超音波スクリーニング向上のための取り組み
/徳島大学病院/吉本 夏実・加地 剛・祖川 英至・吉田 あつ子・米谷 直人・苛原 稔・岩佐 武
徳島県では乳児死亡の減少を目的に、胎児超音波スクリーニングの向上に取り組んでいる。本稿では、当院に開設された、胎児超音波精密スクリーニング外来の現状について検討したので紹介する。

○超音波による細胞パターニング技術
/同志社大学/小山 大介
超音波振動を用いることによって培養細胞を任意の位置に配置、増殖させる細胞パターニング技術を紹介する。振動モードを切り替えることにより、今後再生医療分野への応用が期待される。

○パッチ型振動子を用いた抗感染システムの開発
/(国研)産業技術総合研究所/新田 尚隆
本研究では、臨床現場で使い易い抗感染システムの開発を目指し、皮膚に貼り付け可能なパッチ型振動子と酸化チタン粒子を併用するシステムを検討した。

○超音波照射下での海綿骨における圧電信号の実験的観測
/明石工業高等専門学校/細川 篤
海綿骨試料を圧電素子として用いた「圧電セル」を用いて、超音波照射によって海綿骨で生じる圧電信号の実験的観測を行った。本稿では、骨梁配向が圧電信号に及ぼす影響について検討した結果を紹介する。

■特集:交通分野における超音波技術の応用
○超音波センサアレイシステムにおける送信縦アレイの指向性
/名古屋大学/山里 敬也/日本特殊陶業(株)/辻井 明日香・笠島 崇/三重大学/羽多野 裕之
筆者等が検討している低速移動体向けの超音波センサアレイシステム、とりわけ送信縦アレイについて紹介する。本システムは検出平面に対し、送信アレイを垂直に配置している。このため、一回の照射で検出平面をくまなくカバーできる。

■解説
〔非破壊検査〕
○圧電横効果振動を用いた薄い板状試料の超音波位相イメージング
/秋田大学/今野 和彦
板状圧電振動子の圧電横効果による振動の弾性的結合で生じた厚み振動が一様な速度・位相特性を持つことを示した。これを利用した金属片の位相イメージングを行い、横効果の非共振で駆動しても明瞭な画像が得られた。

〔空中超音波〕
○FDTD法における移動音源の表現
/同志社大学/土屋 隆生
二次元FDTD法への移動音源の実装を紹介する。駆動するグリッド点を移動する直接法と、経路上のインパルス応答を切り替える畳み込み法を提案した。両手法ともドップラー効果を組み入れた移動音源を精度良く表現できた。

〔超音波モーター〕
○四脚型ステータ振動子による超音波リニアモータ
/東京大学/森田 剛・田上 裕太郎
4脚構造を導入した構造によってL1モードとB12モードを利用することで、小型で高出力な超音波リニアモータを提案した。ステータのサイズは20×17×6.7mm3で490mNの最大出力を得た。

〔超音波デバイス〕
○ガラス板/液体層/128度回転Y板X伝搬LiNbO3構造における弾性波伝搬特性の解析と検証
/静岡大学/近藤 淳・寺川 陽太
ガラス板/液体層/128度回転Y板X伝搬LiNbO3構造を利用すると、ガラス板上で液滴搬送や計測が可能なデジタル式微小流体システム(DMFS)が実現できる。3層構造からなるDMFSの最適化には、ガラス板を伝搬する弾性波であるLamb波を知る必要がある。本稿では、Rayleigh-Lambの式を用いた解析と実験結果の比較により、Lamb波の推定を行った結果について紹介する。

○異種材料接合構造を用いた弾性表面波高調波の強勢励振
/山梨大学/垣尾 省司・浅川 詩織・鈴木 雅視/早稲田大学/手塚 彩水・水野 潤
弾性表面波素子の高周波化を目的として、LiTaO3と水晶の異種材料接合構造を用いて漏洩弾性表面波の三次高調波を強勢励振させる手法を提案し、その共振特性の電極メタラーゼーション比依存性を理論的、実験的に検討した結果について紹介する。

○二層構造厚み滑り振動子の最適基板方位の選択法
/東北大学/大橋 雄二・大和田 悠介・横田 有為・吉川 彰/(株)XMAT/面 政也
二層構造厚み滑り振動子の設計における適切な基板方位を選択するために、単層振動子の共振周波数温度特性を2次関数近似したときの2次温度係数aと1次温度係数bの関係から求める手法を提案し、実験的に実証した。

○磁気弾性体を用いた二次元フォノニック結晶界面における界面弾性波の外部印加磁場による制御
/北海道大学/田中 之博
従来の二次元フォノニック結晶と磁気弾性体からなるフォノニック結晶を結合させた系の接合面を伝播する界面弾性波の伝播特性について報告する。界面弾性波の分散関係は、外部磁場の大きさと方向に依存して変調される。

○LiTaO3薄板を用いた多層膜構造strip型高周波厚みすべり共振子
/東北大学/門田 道雄・石井 良美・田中 秀治
厚さ2μmのX-LiTaO 3薄板と音響多層膜を用いたストリップ型厚みすべり共振子を作製し、周波数1GHz、BW 6.7%、インピーダンス比62dB、および優れたTCF(fsで-17ppm/o)を得た。

〔超音波センサ〕
○撓み振動と厚み振動の共在するダイアフラム型PZT振動子の受信特性
/東京都立大学/鈴木 雅俊・田川 憲男
pMUTの受信感度を向上させ、かつ短パルス受信が可能な広帯域性を持たせるためには、厚み振動の利用が効果的である。本稿では、PZT層と支持層の厚みを変えて撓み振動と厚み振動の共在割合を制御し、受信波形の特性を解析した。

〔超音波計測〕
○外部重畳音波による熱音響システムの共鳴モード制御
/同志社大学/平松 康斗・渡辺 好章
熱と音波のエネルギー変換現象である熱音響現象について、現象発生に重要となる境界層と位相に着目し紹介する。また、その一例として熱音響システムに外部音波重畳手法を用いたモード制御についても紹介する。

〔物性・評価〕
○RFマグネトロンスパッタ法によるc軸配向CrAlN膜の形成と圧電特性評価
/山梨大学/鈴木 雅視・髙野 佑成・垣尾 省司
理論的には圧電性増幅が実証されているCrAlN膜をスパッタ法により形成・実験的評価を行った。本稿では、Crドープが結晶配向性や結晶構造に及ぼす影響、1〜3%程度の低Cr濃度ドープにおける電気機械結合係数kt2の増幅について紹介する。

○角度分解偏光ラマン分光と多変量曲線分解
/島根大学/塚田 真也
角度分解偏光ラマン分光では、光の偏光面を回転させて大量のスペクトルを取得する。そして、多変量曲線分解でデータの質を落とさずに効率よく解析できる。本稿では、これらの実験・解析が強誘電体の評価に有効であることを紹介する。

〔圧電・超音波材料〕
○ScAlNとPbTiO3エピタキシャル薄膜を用いた高効率超音波トランスデューサの現状
/早稲田大学/岩田 直也・柳谷 隆彦
超音波トランスデューサには、多結晶のPZT(Pb(Zr,Ti)O3)セラミックスがその大きな圧電性(電気機械結合係数)から、これまで広く使われてきた。しかし最大電圧印加時の高振動駆動では、圧電性は飽和していき、むしろ単結晶のLiNbO3などの方が、振動速度を稼げることがわかってきている。超音波診断装置用数MHz帯の超音波プローブでは、多結晶セラミックスからPMN-PT(Pb(Mg 1/3Nb2/3)O3-PbTiO3)板に置き換わっている。しかし数十MHz以上の領域では未だ、多結晶ZnO薄膜やPZTセラミックス薄片およびPVDF(PolyVinylideneDi Fluoride)の貼り付けによるトランスデューサが使われている。この領域においても単結晶を使った方が、耐電力性の観点からも有利であることは間違いない。これまでMBE(分子線エピタキシ)法やCVD(化学気相成長)法がメインであったエピタキシャル成長技術は、ここ10年ほど産業化に有利なスパッタ法にまで拡張されており、いよいよ数十MHz領域に単結晶化の波が迫りつつある。本稿では、スパッタエピタキシによる単結晶圧電薄膜を用いたトランスデューサについて、実際の性能を紹介しながら紹介する。

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