超音波テクノ 2020年1-2月号 PDF版

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■特集:海洋音響のさまざまな技術1
○浅海音波伝搬シミュレーションにおける音速プロファイラの影響調査
/東京海洋大学/土屋 利雄・平井 由季乃・清水 悦郎
我々は小笠原周辺浅海域で船舶放射雑音が鯨に与える影響調査のためにPE法による音波伝搬シミュレーションを実施している。本稿では、計算結果に大きな影響を与える音速プロファイルについて現地での取得データにより詳細に検討した。

○直交周波数分割多重を用いる水中音響通信システム
/筑波大学/海老原 格・水谷 孝一・若槻 尚斗/防衛大学校/小笠原 英子
水中音響通信は、海洋の調査・観測を支える通信インフラの一つである。その選択肢の一つとして提唱されてきた通信方式「直交信号分割多重」の性能を、駿河湾沿岸域において評価した。

○受動的音響観察によるエゾメバルの生息密度とサイズ組成の推定
/北海道大学/安間 洋樹・藤森 康澄/国際水産資源研究所/松原 直人/紋別市総務部/片倉 靖次/中央水産研究所/赤松 友成
エゾメバルを対象に、鳴音の受動的音響観察により生息密度やサイズ組成を推定するために必要な基礎情報を得た。水槽実験では本種特有のパルス特性が確認された他、体成長に伴うピーク周波数の低下が見られた。野外実験では受信パルス数と目視観察個体数の間に相関関係が見られた。

○サンゴ礁における鳴音を用いた生物分布観測とサウンドスケープの季節変化
/中央水産研究所/赤松 友成/(国研)海洋研究開発機構/Tzu-Hao Lin/琉球大学/波利井 佐紀・Frederic Sinniger
サンゴ礁には多様な発音生物が生息している。移動型水中マイクロホンによる音声受信で発音魚の分布を明らかにした。また生物の活動周期の指標として、水中のサウンドスケープが有用性であると示唆された。

○GNSS-Aで見るスロースリップと海洋場の微小構造
/東京大学/横田 裕輔/海上保安庁/石川 直史・渡邉 俊一
GNSS-Aは精度向上により、微小な海中音速度傾斜構造の検出を可能とするとともに南海トラフ域の浅部スロースリップの検出を実現した。本稿では、海洋場に対する新しい観測能力と地震学的に重要視される浅部プレート境界の観測能力について紹介する。

○部分アレイ間位相差と時間シフト差分を用いた目標方位推定
/日本電気(株)/斯波 尚志
ソーナーにおいて、高精度に目標方位を推定する方法として、部分アレイ間の受信信号の位相差による方法がよく利用されている。しかしながら、部分アレイ間の距離によって、推定できる方位範囲に制限がかかる。本稿では、部分アレイを構成する素子をオーバーラップさせることで、部分アレイ間のビーム間隔を狭めてこの制限を回避する方法と、周波数変調波に対して時間シフト差分を用いることで、この制限を解除する新しい方法という二つのアプローチについて紹介する。

■特集:産業界に貢献する超音波洗浄
○超音波キャビテーション核(ウルトラファインバブル)の最新動向
/(国研)産業技術総合研究所/安井 久一
ウルトラファインバブル(UFB)はその表面の半分以上が、疎水性不純物で覆われている。UFBは水面にトラップされ、液膜の破れを促進し、リング法で測ると、表面張力が下がったように見える。布の洗浄では、繊維の細かな穴に洗浄液が入り易くなる。

○新型超音波洗浄機PHNIX+
/(株)カイジョー 長谷川 浩史
本稿では、管理機能の強化や操作性を大幅に向上させた新型低周波超音波洗浄機「PHENIX+」を紹介する。

○超音波やマイクロ波を利用した安全で安価な金属ナノ材料の合成法
/東北大学/林 大和
超音波やマイクロ波は特殊なエネルギーでありながら、家電などで誰にでも使用できる装置である。本稿では、これらのエネルギーを利用した安全で安価に誰にでも製造可能な新しい金属ナノ材料合成プロセスについて紹介する。

○最強の超音波洗浄機
/オタリ(株)/橋本 芳樹
当社史上最強の超音波洗浄機Double-Wasp(ダブルワスプ)を紹介する。一つの投込振動子から異なる二つの周波数を同時に発振させ、均一で強力な超音波洗浄機を提供する装置である。本稿では、詳しくその特徴を紹介する。

○超音波洗浄槽内の音場特性評価
/(株)カイジョー/鈴木 一成
超音波洗浄槽内では振動素子配列に起因する音場の落ち込みが生じ、半導体ウェーハ表面上の微粒子除去に影響を与える。本稿では、シュリーレン映像法による超音波洗浄槽内音場の可視化より、進行波型、定在波型といった音場構造が微粒子除去と関連することを紹介する。

○プラント設備洗浄に適した超音波洗浄機
/新科産業(有)/中原 理暉
本稿では、タンク、管材等の内面洗浄に適した棒状超音波機、及びインラインで配管洗浄に適したClamp-on式配管洗浄用超音波洗浄機を紹介する。生産ラインに簡単に取り付けることができ、タンク状容器、配管の洗浄又は付着防止に利用できる。

○超音波洗浄に適した水系フラックス洗浄剤
/荒川化学工業(株)/大西 裕一
洗浄の基礎について解説する。続いて、本稿では、「高洗浄力、金属腐食抑制」という特長を有し、超音波洗浄方式に最適な水希釈型フラックス洗浄剤「パインアルファST-240KKA」を紹介する。

○一液フラックス洗浄システム
/化研テック(株)/家邉 悠希子
5G通信への移行に伴い、ハイエンド製品の信頼性を確保する上で電子部品や回路基板の精密洗浄は益々重要となっている。本稿では、超音波精密洗浄に適した洗浄剤マイクロクリンECO-3002/WDとその洗浄プロセス設計について紹介する。

■解説
〔医用超音波〕
○超音波速度変化法による不安定血管プラークの検出における心拍の影響の除去法
/大阪府立大学/和田 健司/TU技術研究所/松中 敏行
不安定プラークを非侵襲に検出するために、Mモード波形を用いて超音波速度変化(UVC)データを取得することにより、心拍の擬似環境下での頸動脈ファントムの脂肪領域を高い成功率で短時間に識別することに成功した。

〔非破壊検査〕
○サイディングによる圧電振動子の振動特性の改善の一方法
/秋田大学/今野 和彦
圧電振動子の側面に音響負荷を付与するサイディングにより面内振動を抑制し、振動子の放射面上の振動速度分布の平坦化を試みた。部分電極振動子の振動面の振動分布をレーザドップラ振動計で測定し、サイディングの有無による振動特性を明らかにしている。また本稿では、同条件で水中に超音波を放射し、平面波の音圧が均一になることや、不要輻射の抑制効果について紹介する。

■研究室紹介
○東京海洋大学 海洋資源環境学部 応用情報システム工学研究室
/東京海洋大学/宮本 佳則

○群馬大学大学院理工学府 環境創生部門 社会基盤・防災コース 構造工学研究室
/群馬大学/斎藤 隆泰

○東京都立産業技術高等専門学校 機械システム工学コース 青木研究室
/東京都立産業技術高等専門学校/青木 繁
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