L1706
■特集:持続可能な水素社会実現への挑戦
○自然換気条件および強制換気条件における室内の水素流れの解析
/九州大学/月川久義・井上雅弘
換気が制限された室内で水素が漏洩しても、燃焼・爆発などの被害に至らない適正な換気方法を見出すために、実験を基礎としたシミュレーションによる、室内の自然換気および強制換気条件下での水素の流れについて解説する。
○外部気流がある部分開放空間の漏洩水素の挙動
/九州大学/金澤将平・井上雅弘・小野哲弘・月川久義
開口部が相対的に小さく換気が制限される空間内で水素が漏洩すると、天井部分に水素が集積するが、この濃度が外部気流の速さによってどのように変化するかを実験と数値解析から説明する。また、水素漏洩のリスクを低減する方法について述べる。
○高速応答型水素センサの水素拡散追従性評価
/新コスモス電機(株)/鈴木健吾・宮崎 洋・岩見知明
高速応答型水素センサを用いた水素拡散実験の結果について報告する。
○漏洩水素の連続的高速移動センシングに関する研究
/愛媛大学/松浦一雄・高宮 章・間野泰行・森下裕太・安藤雄也・森本雅幸
水素漏洩に対する連続的な高速移動センシングシステムの実現と性能評価を目的とし、水素センサ予熱時間の評価と移動センシング実験を行った。また、接触燃焼式センサを想定した、センサ内外部間に亘る水素拡散シミュレーションを行った。それにより動的応答遅れを評価した。
○FDSによるトンネル内の水素漏洩拡散挙動と換気のシミュレーション
/鹿児島大学/錦慎之助・松下 誉
中央部が高く水素が溜まりやすいトンネルで、多数の水素タンクから水素を漏洩させたシミュレーションをFDSで実行し、水素の拡散挙動と濃度分布を示した。また、トンネル外へ水素を排出する換気風速を検討した。
○水素ステーションの商用化と普及に向けた取り組み
/(一社)水素供給利用技術協会/粟津幸雄
夢のエネルギーであった水素が燃料電池自動車用として実現し、水素供給インフラである水素ステーションの国内での整備が進んでいる。水素エネルギーが商用化に至った道のりとそれを支える技術について述べる。
○炭素膜による有機ハイドライドからの水素分離
/(国研)産業技術総合研究所/吉宗美紀・原谷賢治
有機ハイドライドから燃料電池自車用超高純度水素を分離精製する新規技術として、分子ふるい型炭素膜の開発を行った。高選択性炭素膜の開発により、一度の分離で燃料電池自動車用水素規格の達成が可能となった。
○水素透過パラジウム膜電極を用いた水電解
/宇都宮大学/伊藤直次
パラジウムを膜化したものを電極として電解装置に組み込めば、発生水素をその場分離して、直接ドライ水素を発生させることができる。その原理について述べるとともに、装置の形状や電解特性などについて紹介する。
○水素分離膜モジュール設計支援技術の開発
/東京大学/船津公人
近年、クリーンエネルギーとして注目されている水素を利用した環境低負荷型エネルギーシステムの創生が期待されている。水素供給源として天然ガス(メタン)の改質によるプロセスが検討されており、水素製造時のエネルギー効率の大幅な向上を目指して、多孔質無機膜を利用した高効率高温水素分離膜のモジュール化に関する技術開発が実用化に向けて進行している。高効率分離膜モジュールの設計に際しては、その構造パラメータ(寸法や膜の配置など)の多様性と分離効率に関する基礎データの蓄積が必要となるが、ここでは分離膜モジュールの構造パラメータを入力データとして計算流体力学により分離膜モジュールの分離性能を系統的に予測することを行った。これにより、モジュール構造設計における性能評価を大幅に短縮し、装置製造の開発期間短縮に寄与できる。
○酸化物光触媒および光電極を用いた水素と有用化学品製造
/(国研)産業技術総合研究所/佐山和弘
太陽エネルギーを有効利用するためには、安価でかつシンプルな革新的技術開発が必要不可欠である。本稿では、粉末光触媒-電解ハイブリッドによる水素製造および、過酸化水素や次亜塩素酸等の有用化学品を生成する技術を紹介する。
■解説
○さわれる大気圧プラズマを用いた表面付着有機物の質量分析法
/関西学院大学/岩井貴弘・千葉光一/東京工業大学/宮原秀一・沖野晃俊
医療・産業やセキュリティ分野への応用を目的として、表面付着物を低温プラズマで脱離・イオン化し、高感度に質量分析する手法が開発されている。本稿では、代表的な装置と最新の研究動向について紹介する。
○革新型Si太陽電池を実現するためのナノインプリント微細加工技術
/東京都市大学/市川幸美・小長井誠/(国研)科学技術振興機構/平井政和
量子サイズ効果によるSiバンドギャップの制御を目的として、幅が数nmで高さが数μmのウォール状の微細構造をナノインプリントと異方性ウェットエッチングにより形成するプロセス技術について紹介する。
○PM2.5や黄砂粒子を一つ一つ観察できる携帯型粒子捕集装置
/工学院大学/坂本哲夫
微粒子を空気中から平滑な基板上に均一に捕集できる装置を開発した。電子顕微鏡や各種表面分析法を個別粒子に適用できる。また、多数粒子の統計的な情報も得られるデータ処理例も紹介する。
○シリコンナノ粒子インク
/兵庫県立大学/佐藤井一
チオール修飾シリコンナノ粒子インクの紹介と、固体表面上で一様なナノシリコン膜を塗布形成するために参考になる数値計算、そして、得られたナノシリコン膜のガス応答材料としての可能性を紹介する。
○旋回流を利用した非接触吸着装置
/神奈川工科大学/石綿良三
液晶パネルや半導体は汚れや傷を嫌うため、それらの製造工程で非接触搬送装置が用いられている。既存のベルヌーイチャックは大流量、大消費エネルギーという問題があり、自由渦を利用した吸着装置を開発した。
○太陽電池パネルの静電クリーニング装置
/早稲田大学/川本広行
大規模な太陽光発電が注目されているが、ソーラ―パネル上に砂が堆積し、発電効率を低下させることが問題となっている。このため静電クリーニングシステムを考案し、実験とシミュレーションで有効性を実証した。
■連載
○リチウムイオン電池におけるクリーンとグリーン 第2回
/泉化研(株)/菅原秀一
■製品紹介
○トリリオン・センサ社会に向けた次世代Si深掘り装置
/SPPテクノロジーズ(株)/金尾寛人
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