W1705-06
■特集:上水道における水処理技術の最新動向
○上水道における水処理技術の最新動向/(公財)水道技術研究センター/富井正雄
社会環境、自然環境の変化が水源水質に影響を及ぼし、その結果として浄水処理に問題や課題が生じている。本稿では、日本の上水道における水処理技術の現状、今日的課題や動向について紹介する。
○超高塩基度PAC導入検討と運用実績
/岡山市水道局/平岡 茂・室井康宏・疋田章博
旭川では藻類の増加や高pH原水となるなど季節的な水質変化が発生し、これを水源とする旭東浄水場ではろ過水濁度の上昇がみられたため、超高塩基度PACを導入することとした。その導入検討の内容と、浄水場で運用した際の効果について報告する。
○霞ヶ浦を水源とする新たな浄水処理手法の実証実験
/茨城県企業局/中嶋 淳・古橋嘉一・助川英志
当局では、霞ヶ浦を水源とする浄水場の水処理におけるかび臭等の異臭味障害や夏季のTHM生成等に対応するため、オゾンと過酸化水素を組み合わせた促進酸化処理(AOP)と帯磁性イオン交換樹脂の導入を目指し、一連の処理システムを評価するための実証実験を平成26年12月から実施している。
○水位差利用による省エネ型膜ろ過水道システム
/(一社)膜分離技術振興協会 鮫島正一
当協会では水位差ろ過の事例を調査し「水位差利用による省エネ型膜ろ過水道システム導入手引き」をまとめた。本稿ではその内容について報告する。
○顕微鏡電気泳動法を応用した凝集剤注入制御システム
/(株)東芝/有村良一・黒川 太・毛受 卓・横山 雄
本稿では、顕微鏡電気泳動法によるゼータ電位の測定方法を応用した画像処理を使った凝集状態判別指標と、その指標を用いた制御システムの構築に関して記述する。特に、浄水場での薬品注入管理が困難となる原水水質変動時における本制御システムの検証結果について報告する。
○フロック粒径測定による凝集不良の早期検知
/メタウォーター(株)/田中由香・久本祐資・山口太秀
当社では、実験プラント及び実施設にフロック粒径を連続測定することができるフロックセンサを設置して、凝集不良を早期検知する方法について検討した。本稿ではフロックセンサの概要と実験結果について報告する。
○脈動形高速凝集沈澱装置の高性能化
/オルガノ(株)/國東俊朗
高速凝集沈澱装置は、既成フロック存在下でのフロック形成と沈降分離操作を一体化した装置である。今回、筆者らは汎用熱流体解析ソフトを用いた沈澱槽内流動シミュレーション、実機沈澱槽内水温分布を測定し、高速凝集沈澱装置における熱対流発生要因の調査を行った。また、実施設と同形式のパイロット実験措置を浄水場内に設置し、熱対流発生時の処理水悪化制御方法についても検討を行ったので本稿で報告する。
○攪拌強度制御システム適用による浄水水質の改善
/(株)ヤマト/川端洋之進・長谷川孝雄・新井忠男/沼田市上下水道課/諸田保明
攪拌強度制御システムは年間を通して攪拌強度を一定値に維持する。当システムを浄水場の混和池攪拌機に適用し、低水温・低濁度原水に対する浄水水質の改善効果を検討した。
○高Flux型親水化PVDF膜を利用した低エネルギー膜ろ過技術
/(株)クラレ/薮野洋平
膜ろ過方式のランニングコスト低減を目的に水頭差膜ろ過システムが実用化されている。同システムは動力費の削減を図る一方、地形的制約を受けることや原水水質変動時に対応が困難であるといった問題があった。本稿ではこれらの問題解決のために新たな水頭差膜ろ過システムを検討した結果について紹介する。
○淀川原水への浄水セラミック膜ろ過技術の適用
/メタウォーター(株)/村田直樹・山口太秀・青木伸浩
本稿では、高度に利活用された淀川を対象に、オゾン・凝集といった膜前処理が水道原水中のバイオポリマー(高分子量有機物)に与える影響と、1年間にわたって実施した連続セラミック膜ろ過実験について紹介する。
○オゾン/電気分解による促進酸化処理
/(株)東芝/村山清一・毛受 卓・牧瀬竜太郎/清華大学/王 玉珏
酸化力の強いOHラジカルを生成し、それを利用して処理を行う促進酸化処理の新しい方法として、炭素系電極を用いた電気分解とオゾン処理を併用する方法について検討し、新たな知見を得たので報告する。
○二酸化マンガンを用いた高性能ヒ素吸着剤
/日本濾研(株)/矢内拓郎・大橋伸夫・市場克也
高性能ヒ素吸着剤を開発した。従来品と異なりAs(V)のみならずAs(III)に対しても高い除去能力を示した。また幅広いpH領域やフッ素やホウ素といった共存物質存在下でも高い除去能力を示し上水のみならず排水処理にも適用できる。
■特集:二酸化炭素の有効利用
○バイオマス産業都市さが
/佐賀市環境部/井口浩樹
当市では佐賀市清掃工場で発生する二酸化炭素や、下水浄化センターで発生する二酸化炭素及び脱水分離液を用い、微細藻類の低コストかつ効率的な生産方法を確立し、関連産業の集積に向けて活動。そのため、技術面をサポートする研究施設も必要と考え、現在施設整備と研究体制に関しての協議を進めている。本稿では当市が目指す「バイオマス産業都市」について紹介する。
○CO2からの化成品製造
/東京理科大学/杉本 裕
本稿ではすでに工業化されていたり今後の工業化が期待されるCO2の化学的利用の代表例を紹介する他、脂肪族ポリカーボネートの合成とその利用方法等について述べる。
○Jファーム苫小牧におけるCO2利用システムの紹介
/JFEエンジニアリング(株)/高須展夫
本稿では(株)Jファーム苫小牧工場における木質バイオマスボイラによる熱エネルギー・CO2供給およびガスエンジントリジェネレーションの取り組みについて紹介する。
■シリーズ
○フィールド・レポート
宇宙線が地球の気候に影響する可能性
/T.Tech.Office/田村真紀夫
■連載
○静脈物流:ごみ収集・運搬よもやま話15
収集・運搬の効率化:中継輸送システム(2)
/循環物流システム研究所/井上 護
○下水汚泥処理設備のプラント化への挑戦5
第5次下水道整備5ヶ年計画時代前半(昭和55〜60年)
/NPO21世紀水倶楽部/清水 洽/(元)(株)クボタ/松尾英介
○沿岸環境の保全・再生技術1
環境にやさしく、シンプルなサンゴ群集の再生技術(1)
/鹿島建設(株)/山木克則
■コラム
○“日本には四季がある”に学ぶ
/HST
■製品ガイド
○蛍光X線分析装置
/編集部
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