/日本工業出版(株)/

■特集:超える-空間・時間分解能-
○回折限界を超える観察技術
/東京大学/高橋 哲
/(国研)産業技術総合研究所/工藤 良太
従来、蛍光修飾対象に限定されていた構造照明超解像手法を、製造デバイス微細機能構造のような一般的な散乱対象へ展開適用しうる特殊な三光束干渉照明法について、その原理および特性を紹介する。

○メタマテリアル材からなる超解像レンズアレイ
/(国研)物質・材料研究機構/岩長 祐伸
数ある物理限界のなかでも光学像の結像下限である回折限界はよく知られている。本稿では、この回折限界を巧みに回避しながら、光学顕微鏡を直接的に超解像化するという目標を達成するための方法と最近の結果について報告する。

○ライン集光スリットと波長-空間変換を用いたスキャンレス・フルフィールド共焦点レーザー顕微鏡
/徳島大学JST-ERATO美濃島知的光シンセサイザプロジェクト/安井 武史・宮本 周治・長谷 栄治・南川 丈治
/宇都宮大学JST-ERATO美濃島知的光シンセサイザプロジェクト/山本 裕紹
ライン集光と波長/空間変換を組み合わせたスキャンレス・フルフィールド共焦点レーザー顕微鏡を紹介する。本顕微鏡は、機械的可動部を有さないため、高速かつ外乱ロバストに共焦点イメージを得ることが可能である。

○表面プラズモンのフェムト秒時間・ナノメートル空間分解イメージング
/筑波大学/久保 敦
時間分解光電子顕微鏡(TR-PEEM)の時間・空間分解能はシングルフェムト秒、シングルナノメートルに達する。当手法によるAg薄膜、およびAuナノ構造の局在型表面プラズモンの時空間分解観察について述べる。

○共焦点光和周波顕微鏡によるコメ種子断面の観察
/北陸先端科学技術大学院大学/水谷 五郎・Khuat Thi Thu Hien
私たちが開発した共焦点光和周波(SFG)顕微鏡についての基礎技術を解説し、この装置の応用例として、コメ粒の中のデンプンの分布、および猛暑下のコメ粒の胴割れ現象の際のデンプンの変化を計測した例を示す。

○離散型多波長干渉法の発展と高分解能断層形状測定への応用
/新潟大学/崔 森悦
離散型多波長干渉計としての多波長逆伝搬法および多波長走査干渉計を取り上げ、その原理および研究成果について述べる。また、多波長逆伝搬法によるガラス薄膜断層計測と多波長走査干渉計による生体内部振動計測結果について報告する。

○時間分解CMOSイメージセンサ
/静岡大学/川人 祥二・安富 啓太・徐 珉雄・香川 景一郎
LEFMを用いたロックインピクセルの基本原理と動作について解説し、これによる光飛行時間計測を用いたサブミリメータ分解能の距離画像センサ、バイオイメージング(蛍光寿命イメージング、ラマン分光イメージング等)への応用例を紹介し、今後の可能性について述べる。

■解説
○SiC上エピタキシャルグラフェンの合成と展望
/名古屋大学/楠 美智子・乗松 航
高移動度を有するグラフェンの大面積合成法として、SiC表面熱分解法が期待されている。本稿では、半絶縁性のSiC基板上に直接成長するグラフェンの積層様式、基板との界面構造が電気特性に及ぼす影響について解説する。

○泌尿器領域におけるALA-PDD
/高知大学/福原 秀雄・井上 啓史
膀胱癌および前立腺癌に対する5-アミノレブリン酸(ALA)を用いた光力学診断(photodynamic diagnosis;PDD)の臨床応用について概説する。

○OCTを中心とした生体の構造・生理機能計測
/大阪大学/近江 雅人
OCTは表皮下数mmの生体構造を約10ミクロンの空間分解能で断層イメージする光技術である。このOCTを用いて表皮下の汗腺や末梢血管の生理機能の解明を検討している。交感神経の支配下にある精神性発汗や血管収縮現象をミクロに捉えることに成功した。

○テラヘルツ時間領域分光による反強磁性体の磁気秩序と内部エネルギーの温度依存性の測定
/福井大学/守安 毅
/神戸大学/河本 敏郎
反強磁性体MnO、NiO、および CoOにおいてTHz-TDS測定を行いスピンダイナミクスの解明を行った。反強磁性マグノンの吸収を観測し、また平均屈折率の温度変化が内部エネルギーに関係していることも見出したので報告する。

○メチレンブルーPACTによるH.pylori除菌
/猿払村国民健康保険病院/小笠原 浩二・佐藤 浩
/旭川医科大学/大崎 能伸・佐々木 瑞希
/(医)元生会森山メモリアル病院/中島 進
H.pylori除菌が広く実施されているが、抗生物質耐性菌が増加しつつある現状で抗生物質に依存しない新たな方法が必要になってきた。色素内視鏡でメチレンブルーを使い耐性菌にも有効な除菌法を考案し、invitroでのPACTを施行した。

○電磁光学ソフトVirtualLabによるレーザー光学系解析
/アストロオプト/藤代 尚文
VritualLabは結像光学系から照明光学系まで幅広い光学アプリケーションに使用できるが、本稿では本ソフトウェアが特に強い分野となっているレーザー光学系にスポットをあてて、本ソフトウェアの機能を紹介する。

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