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■特集:医療・福祉におけるフルードパワー技術の進展
○巻頭言 医療・福祉におけるフルードパワー技術の進展
/岡山理科大学/赤木徹也
空気圧アクチュエータは、圧縮性によるコンプライアンスを有し人と接する環境で望まれる特性を自ずと備え、さらに柔軟素材でできたソフトアクチュエータは、人体に直接接する環境でも安全で力/重量比も高いなど多くの利点を有する。この巻頭言では医療・福祉における空気圧を用いた研究動向についていくつか紹介する。
○低コスト・ポータブル上肢リハビリテーション機器の開発
/岡山理科大学/赤木徹也
本稿では2本の柔軟空気圧シリンダから構成される球面アクチュエータを用い、患者が手に持った状態で使用するポータブルな上肢リハビリテーション機器の開発について紹介する。この機器は、使用者がすぐに手放せるため恐怖を感じにくく、手先に加える運動で肩などを含めた上肢全体に対して運動を誘導することができる。
○パワーアシストハンド・レッグ
/神奈川工科大学/山本圭治郎
手足のリハビリ用としてベローズを利用したパワーアシストハンド・レッグおよび義手を開発した。空気圧でベローズを収縮・伸展させ関節回転力を得るものである。自主トレマシンとして高いリハビリ効果が期待される。
○屋外活動用アシストスーツの開発
/神奈川工科大学/吉満俊拓
当研究室ではレスキュー活動など屋外での活動の補助をし疲労軽減・怪我防止を目的として軽量化と可動域の拡大に焦点を絞り、屋外活動に適したレスキュー用アシストスーツを開発する。
○4関節型空気圧歩行支援装置
/明治大学/小山 紀
空気圧アクチュエータは内圧の設定により広い範囲で動作剛性の調整が可能であり、介護・支援装置への利用に適している。収縮型および伸展型ゴム人工筋をそれぞれ膝関節および足首関節の伸展・固定保護のために用いた空気圧歩行支援装置について解説する。
○空圧式ハンドリハビリシステム
/大阪工業大学/谷口浩成
本稿では、空気圧を利用したソフトアクチュエータを用いることで、作業療法士が行うリハビリ運動の再現を目指した高機能空圧式ハンドリハビリシステムについて紹介する。
○患者ロボット
/工学院大学/髙信英明
医療の実習においては、よりヒトに近いシミュレータの活用や患者個別の状況を設定した演習が求められる。そのような中、医療現場の臨場感を再現しつつ、侵襲を伴う行為を体験する機能を備えたヒューマノイドロボットの研究について紹介する。
○空気圧人工筋アクチュエータを利用したアクティブ・サポータの開発
/関西学院大学/嵯峨宣彦
高齢者がより長く自立生活を送ることができるよう歩行支援機器の開発が急がれている。軽度の歩行能力の低下がみられる場合、違和感が少なく膝周辺に手軽に装着可能な支援機器を開発することで、活動範囲が広がり、自立的な生活も継続し、QOLやADLの改善にもつながる。そこで、開発中の空気圧人工筋による膝用装具をベースにしたアクティブ・サポータについて紹介する。
○ラバーレス人工筋肉ロボットアームの関節剛性と姿勢の制御
/秋田県立大学/齋藤直樹
ラバーレス人工筋肉駆動型ロボットアームの関節剛性と姿勢の制御方法について述べる。空気の圧縮性が持つパッシブコンプライアンスを生かして、受動的な関節剛性特性を設定する。これに関節姿勢制御を加え、安全性の高いロボットのための技術を提案する。
○農作業向けアシストスーツ
/和歌山大学/八木栄一
農作業向けに力を補助する装着型のロボットであるアシストスーツを開発した。高齢な農家を手助けし、力の弱い若者や女性が農業に参入し易くするため、収穫物等の重い荷物を持ち上げて運搬する作業や、長時間の中腰作業や、急傾斜栽培地での歩行等きつい農作業を軽労化する。
○手術台
/ミズホ(株)/小尾卓也
手術台とは病院の手術室にて、手術中に患者の体位を安全に保持するための医療機器の一つである。手術台は大きく分けて汎用手術台と、個別の診療科の手技に特化して使用しやすいことを目的とした特殊手術台がある。それらの手術台を紹介する。
○介護予防訓練機用油圧式ダンパー
/JPN(株)/中村彰男
我が国の高齢化と共に要介護認定数は増加の一途を辿っている。政府は要介護認定数の増加抑制のため介護保険法を改正し様々な介護予防サービスの提供を始めた。そこで当社では筋力トレーニング器具に着目し個人の体力に応じた負荷力を得る可変調整の油圧ダンパーを開発した。
■製品と技術
○空気圧補助機器
/CKD(株)/古居聖浩
シリンダ速度調整の簡素化及び定量化を可能とした小型のダイヤル付きスピードコントローラDSC-Cシリーズについて、特長・適用事例を踏まえて製品の紹介をする。
○室蘭工業大学機械システム設計学研究室
/室蘭工業大学/風間俊治
室蘭工業大学大学院生産システム工学系専攻ならびに同大学機械航空創造系学科に置かれている、機械システム設計学研究室では、動力伝達や機械要素設計の教育研究を進めている。本稿では、フルードパワー技術を支えるトライボロジーとキャビテーションの探求を目指した活動内容を紹介する。
■H&P情報
○油空圧機器出荷統計
○建設機械出荷金額統計
■製品ガイド
○コンプレッサ
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