/日本工業出版(株)/

-金型への有効な利用法のための選択方法と諸現象-
今日の工業製品や民生品の製造には、各種の高品質な金型材料が重要な「工具(ツール)」として利用されている。金型は機械加工、研削加工、放電加工、熱処理、溶接補修や加工、表面処理などにより製造されるが、品質安定性は各種の加工方法や使用条件に大きく左右される。本書は金型の品質向上のための、金型材料(工具鋼)、金型加工に関わる諸現象、特性評価および現場のメンテナンス技術を紹介し、安定性の高い製品生産を望む企業にとって、有効に利用できる技術書として編集している。また、各章の理解度を高めるために問題点の解決手法や読者の理解度を高めるために各章に問題を付けている。本書が金型材料の入門書として経験者や初めて担当する技術者の理解度を高め、金型材料の品質安定化が如何に重要であるかを再認識していただく一助になることを望んでいる。

九州工業大学情報工学院　客員教授　日原政彦　著
B5判 176ページ
2014.6.10

■目次

はじめに
第1章　鉄鋼・金型材料とは
1.素形材産業、金型産業分野および型技術
2.鉄鋼材料の基礎知識
3.金型材料の製造方法と材料の諸特性
第2章-金型材料(工具鋼)の諸特性
第2章-1　金型材料(工具鋼)の諸特性と工程要因
1.プラスチック成形用金型材料の諸特性
第2章-2　冷間用工具鋼の特性(超硬材料含む)
1.冷間用工具鋼の諸特性
2.冷間工具鋼の鋼種、成分と熱処理条件
3.粉末用工具鋼の鋼種と諸特性
4.冷間用工具鋼に発生するトラブル対策
第2章-3　熱間用金型および工具鋼の特性
1.熱間用工具鋼の諸特性
2.ダイカスト用金型(工具鋼)の熱疲労と溶損特性
第2章-4　鍛造用熱間工具鋼の諸特性
1.鍛造技術の概要
2.鍛造用金型に発生するトラブル要因
3.鍛造金型の事例
4.鍛造用金型の溶接補修
第3章　鋼・工具鋼の熱処理とトラブル対策
1.熱処理技術の概要
2.熱処理の基礎
3.熱処理方法と特徴
4.熱処理で発生する問題点
5.工具鋼の熱処理
第4章　鋼・工具鋼の表面処理および表面改質
1.表面処理・改質技術の概要
2.工具鋼への表面処理の適用性
3.各種の表面処理
*附則:X線残留応力測定法
第5章　工具鋼における放電加工の諸特性
1.放電加工の概要
2.放電加工法の概要
3.放電加工面の変形挙動
4.放電加工面の観察と解析
5.放電加工面の物性解析
6.形彫り・ワイヤ放電加工面の残留応力
7.放電加工面の改質処理
第6章　工具鋼への溶接加工
1.溶接加工の概要
2.各種の溶接方法
3.溶接施工の挙動観察と留意項目
4.溶接時に発生する欠陥
5.溶接部の検査
6.工具鋼の溶接加工
7.その他の金属の溶接技術
　
「附則」
1.JIS表示鋼種の意味
2.海外の規格と団体名
3.最終問題および各章-解答・最終問題の解答

「索引」

■著者紹介
日原政彦( Dr. Masahiko HIHARA)
工学博士(東京大学)、技術士(金属部門)
山梨県に生まれる

・科学技術庁金属材料技術研究所　(現　独立行政法人　物質・材料研究機構)勤務
・山梨県工業技術センター勤務、研究開発部長
・ウッデホルム株式会社　技術本部長同社技術部　技術顧問ウッデホルム㈱退職、日原技術士事務所開設
・現在、九州工業大学　客員教授

・技術士事務所(コンサルタント業務、金属、金型材料、熱処理、表面処理、海外企業の技術顧問、国際交流事業関係)、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(エンジニアリングアドバイザー、広域首都圏輸出製品技術支援センター元専門相談員)、中国寧波市職業訓練学院、寧波北企科学技術創新服務中心(技術顧問)など歴任

・学会、その他団体関係
(一社)熱処理技術協会「熱処理工具材料の表面層の改善研究部会」部会長、?素形材センター、型技術協会研究委員会、会長、委員長、幹事、台湾研究会設立台湾との技術交流台湾、中国、スウェーデン、タイ、インドネシア、フィリピン、韓国等での招待講演
(一社)電気加工学会副会長、理事、委員、評議員(一社)日本熱処理技術協会校閲委員、?精密工学会(校閲委員)、経済産業省関係委員、型技術協会国際交流委員会委員長、企画委員、型寿命委員会委員長
HIDA、AOTS講師等　各委員会委員、歴任HIDA、AOTS国際研修機構講師

■主な著作
「ダイカスト金型の寿命向上と対策、中国語、韓国語に翻訳」(軽金属通信ある社、1994年出版)(日刊工業新聞社、自著出版、2001年)
「PVDとCVD皮膜の応用」(分担執筆)(槙書店、1994年)
「精密加工実用便覧 精密工学会編」(分担執筆)(日刊工業新聞社2000年)
「Thermo-mechanical Fatigue and Fracture」(分担執筆)(WIT Press London, UK, Queen Marry University、2002年)
「金属材料の組織と性質―組織とヒートチェック、溶損」(分担執筆)(大河出版、2003年)
「ダイカスト百科事典」(分担執筆)(ダイカスト協会、2006)
「熱間用金型の寿命対策」(分担執筆)、(日刊工業新聞社、2001)
「金型高品質化のための表面改質」(監修)(日刊工業新聞社、2009)
「金型が一番わかる」(型技術協会編・分担執筆)(技術評論社、2011)
「現場で活かす型材・熱処理材料」「型技術」誌 2011年1月から2013年3月まで連載

■学術論文、技術解説
金型材料の諸特性、ダイカスト金型の寿命評価技術、特殊鋼、金型材料の熱処理技術、熱間用金型鋼の窒化処理層の熱的挙動、X線残留応力測定に関する研究、放電加工面の残留応力解析、金型寿命に関する表面処理、改質に関する研究、溶接フェ-ムに関する研究、還移金属(Nb、Ta、Zr合金など)の水素溶解度の研究など

■受賞
ダイカスト協会「小野田賞」
型技術協会「技術賞」
型技術協会「功労賞、論文賞」(2回受賞)　
Denver X-ray Conference-Best presentation award　

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