■解説
〔外観検査〕
○外観検査アルゴリズムコンテスト2011/徳島大学/寺田 賢治
実際の製造現場で生じる画像をそのまま使用した外観検査アルゴリズムコンテストは2011年度で11回目をむかえたが、「細胞内粒子の検出とクラスタリング」を課題として実施した。本稿では159件のエントリーがあったコンテストの内容と審査結果について述べる。
ニューロ視覚センサの誕生<第1回>/(株)テクノス/山田 吉郎
本稿では、画像処理システムの起源はどうなのか、またどの部分に問題があるのかを指摘するとともに新しい発想と本物の人間の視覚系の良さをどのように取り入れシステムとして創り上げているのかについて2回に分けて紹介する。
〔ITS(交通システム)〕
○衛星画像を用いた道路混雑状況の解析
/静岡大学/佐治 斉・新村 文郷/(公財)日本交通管理技術協会/小川 住雄
本稿では、衛星画像を用いて広域の道路上における混雑状況を判別する手法を紹介する。衛星画像内の道路領域上のエッジ情報を抽出し車両台数を算出することで、交通情報を簡易に直接収集する方法であり、広域の道路混雑状況の一括解析を可能とするものである。
〔ロボットビジョン〕
RTミドルウェアの画像処理応用への展望/大阪大学/大原 賢一
ロボット用ミドルウェアであるRTミドルウェアについて概説すると共に、RTミドルウェアを画像処理システムに応用する際の設計指針としての共通カメラインタフェースの紹介、さらに画像処理システムに応用する際の利点と現状抱える課題について示す。
〔セキュリティ〕
掌紋認証を装備したインテリジェントドアノブシステムの開発
/鹿児島大学/佐藤 公則
本技術はドアノブを握るという日常の動作の中に認証システムを組み込み、ユーザに認証動作を意識させないシームレスな個人認証システムである。カメラを内蔵したインテリジェントドアノブ型装置の製作と掌紋による本人認証実験と他人拒否実験の結果を示す。
○不特定多数の大局的な行動パターンに基づく異常検出
/大阪府立大学/青木 茂樹・宮本 貴朗
本稿では、監視員の負担軽減を目指した、異常検出手法を紹介する。この手法では、観測された行動パターンを行動パターン間の類似度を基にクラスタリングし、監視員が各クラスに正常や異常などの情報を付与することによって異常事態を検出する。
〔放送・通信〕
テレビの自然番組制作と最新撮影機材/日本放送協会/富田 浩司
ヒトの眼の能力では認識できない対象を可視化することにより、見慣れた世界でも新奇な世界として描き出すことができる。現代の視聴者の要求にこたえる映像ツール、高速度・微速度撮影、低照度撮影、マクロ撮影、移動撮影、航空撮影などについて解説する。
〔AR・AV〕
一人称視点からの多感覚追体験による伝統技能継承支援
/東京大学/檜山 敦・廣瀬 通孝
本研究では紙漉を題材とし、熟練者の身体感覚に近い形で技能を伝えるために視覚・聴覚と力覚を組み合わせ、熟練者の感覚を一人称視点から追体験するシステムを構築した。評価の結果、提案システムにより効率的に紙漉の基本動作を習得する結果が得られた。
〔認識・検出〕
○ボケ図形の見方・考え方/福井大学/長谷 博行・富山大学/酒井 充
/富山高等専門学校/米田 政明
ボケ図形に対する人の視覚的感じ方には二通りある。ひとつは図形全体を見たときのボケ量の感じ方、他のひとつはボケ領域のみを注視したときのボケ量の感じ方である。本稿では、まずこれらのボケ量の感じ方に相当するボケ図形のボケ量の定量化法について述べる。
〔ディスプレイ〕
○多像式3Dディスプレイにおける最適な視差角の一検討
/(元)日本工業大学/山田 千彦
近年、立体映画ブームが到来し、さらに家庭用立体TVが多く販売されている。この時、人に優しい安全ガイドラインとして、最適な視差角が策定された。そこで、いま市場に出ているレンチキュラ方式3D製品の立体感を視差角の観点から、より良い製品とするための一検討を行った。
〔基礎研究〕
○大脳一次視覚野の構造と機能:
「ピンウィール構造と傾き検出」に関する新説/九州大学/岡本 剛
物体の形を知覚する際、大脳の一次視覚野では画像細部の線や縞の傾きを検出し、さらに、近接する2つの線や縞の傾きの差を検出している。脳活動イメージングによる実験データに基づいたシミュレーションで、傾きの差の検出に関する新しい構造の存在を予測した最新の研究について解説する。
■話題の製品と技術
マルチTIFFファイルのページ編集プログラム「マルチTIFF Professional」
/(株)FMシステム/木村 圭介
マルチTIFF Professionalは、TIFFファイルのページ結合・分割・入れ替え・削除といったページ編集機能や、解像度変更、ゴミ取り、透過スタンプ挿入などの画像編集機能、PDF書き出し等の保存機能を備えたプログラムである。一括処理機能や集計機能もあり、大量の画像処理も容易に行える。
■シリーズ
一般社団法人「VFX-JAPAN 」について/(一社)VFX-JAPAN/秋山 貴彦
今日の日本の業界が様々な問題を一つ一つ解決していくには、この業界に関わる方々の横のつながりや連帯感を強め、業界活性化に向かうための様々な問題点を論じ合える場を作ることが必要である。そのための組織としての「VFXJAPAN」発足について解説する。
○日本インダストリアルイメージング協会(JIIA)活動報告<第12回>
本シリーズではJIIAの役職者の皆様にご登場いただき、設立の経緯や各分科会の活動について、インタビュー形式で紹介している。今回は、カメラ仕様分科会主査の安田雅則氏に話を聞く。
■コラム
○マルコーニの彼方へ
ザ・ビートルズ〜半世紀たった今でもそれは鳥のように自由に/ヤマネコ