/日本工業出版(株)/

■特集:光デバイスの未踏領域
○VCSEL構造によるスローライトフォトニックデバイス
/東京工業大学/小山二三夫
VCSEL構造によるスローライト伝搬を用いた光デバイスの小型化と新機能創出を目指して、スローライト光スイッチ設計と製作、面発光レーザと光変調器の集積化、巨大構造分散を利用した高解像度ビームスキャナの取り組みについて述べる。

○銀微粒子によるプラズモニックナノシートの作製と応用
/九州大学/玉田薫・岡本晃一
均一な粒径の銀ナノ微粒子二次元結晶シート(プラズモニックナノシート)のユニークなプラズモン特性について報告する。このフレキシブルで転写自在の銀ナノシートは、光をナノ厚み界面に閉じ込め伝搬する材料として、バイオや有機デバイス分野に新しい応用の可能性をもたらすと期待される。

○新材料BaSi2を用いたレアアースレス薄膜結晶太陽電池を目指して
/筑波大学大学院/末益崇
新しい薄膜太陽電池用材料として、SiベースのBaSi2に注目している。この材料の魅力、さらには、不純物ドーピングによる伝導型およびキャリア密度制御、分光感度特性などの基礎物性を含め、BaSi2 pn接合に向けた積層構造形成技術の現状について紹介する。

○分子機械-キネシン/微小管系-の運動機能の動的光制御
/北海道大学/玉置信之・亀井敬
一度だけOFFからONまたはONからOFF状態にキネシンの運動を光で制御することは実現されているが、好きなときに何度でもキネシンの運動を動的に制御する研究は行れてこなかった。われわれは、光刺激を使う2つの方法で、キネシンの運動機能を高速状態と低速状態の間で繰り返し制御することに成功した。

○宇宙からのガンマ線をとらえる
/(独)宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所/高橋忠幸
衛星を用いた天体からのガンマ線を観測する技術について解説する。ガンマ線と物質との相互作用を述べ、次世代の100keVから数MeVのガンマ線のイメージング観測に有望な技術であるコンプトンカメラの原理を示し、地上でのガンマ線可視化への応用について紹介する。

■解説
○極低照度下でも高抗菌・高防カビを発現する可視光応答型光触媒塗料
/(株)西井塗料産業/齊藤暢生
光触媒技術をベースとした画期的な抗菌・防カビ技術ができた紹介である。極低照度でもかなり高い抗菌性を示す。これは、フィールドテスト・実施工でも確認できている。しかし、メカニズムは解明中。

○レーザ小径深穴加工-熱の蓄積による深穴の実現
/千葉大学/比田井洋史/東京工業大学/伊東翔・戸倉和
小径かつ高アスペクト比レーザ穴あけ法について紹介する。ホウ珪酸ガラスに対し、熱の蓄積と得られる穴の深さの関係について述べ、さらに種々の材料への加工例を紹介する。

○放射線エネルギーを識別可能な画像検出器の開発
/名古屋工業大学/安田和人・Niraula Madan
有機金属気相成長法によりSi基板上に成長したCdTe厚膜単結晶層を用いて、ヘテロ接合ダイオード構造の検出器を8×8の二次元に集積した画像検出器を製作した。この検出器アレイにより入射放射線の光子エネルギー識別画像が検出できることを確認した。

○食道がん化学放射線療法後遺残再発例に対するサルベージ光線力学療法
/国立がん研究センター東病院/矢野友規
光線力学療法(PDT)とは、がんに選択的に取り込まれる腫瘍親和性光感受性物質とレーザーとの組み合わせによって腫瘍を破壊する治療法である。我々は、食道がん化学放射線療法後の局所遺残再発病変に対するサルベージ治療としてPDTを行っており、良好な成績が得られている。

○がん光線力学療法の新たな展開
/愛知学院大学/田中基裕・小幡徹・佐々木琢磨/名古屋工業大学/柴田哲男
フタロシアニンは、π-πスタッキングと疎水性相互作用により多量体を形成し、PDTの効果を妨げている。この欠点を克服する目的でシクロデキストリンハイブリットフッ素化フタロシアニンを合成した。この化合物は、組織深達度の高い赤色光で強いPDT効果を発揮した。

■製品紹介
○全光束測定システム(ハーフムーン)/大塚電子(株)/大久保和明
○半導体レーザの製作に用いられるドライエッチング装置/サムコ(株)
○日商精密光学の光切断測定機、変遷と今後
/日商精密光学(株)/江森忠
■研究室紹介
○(独)産業技術総合研究所　エネルギー技術研究部門　
電力エネルギー基盤グループ/(独)産業技術総合研究所/山崎聡