■解説
○サンプリングモアレ法による構造物の非接触変位分布計測/東北大学/李 志遠/和歌山大学/森本吉春・藤垣元治
機器・構造物の変位分布を計測することは安全性を確保するために重要なことである。本稿では、最近開発したサンプリングモアレ法を用いた変位分布計測技術について解説し、変形前後の1枚の格子画像から高精度かつ高速に機器・構造物の広域な変位分布を測定できることを示す。
○WES 2805ー2007の規格改正のポイント/上智大学/萩原行人
非破壊試験で検出された溶接部の欠陥に対する許容判定基準である日本溶接協会規格WES 2805「溶接継手のぜい性破壊発生及び疲労き裂進展に対する欠陥の評価方法」が2007年11月に改正された。CTODをベースにした評価法の特徴と主な改正ポイントについて解説する。
○画像処理技術を活用した外観検査について/広島県立総合技術研究所/佐野 誠・石津任章・弓場憲生・大賀 誠・打田澄雄・小池 明
これまで画像処理技術を活用した外観検査について取り組んできた。中小企業にも導入しやすい技術の観点から、装置の低価格化、画像処理の高速化、開発容易性を目標に研究開発を行っている。近年における研究開発の概要と、その成果展開について紹介する。
○動的粘弾性測定によるゴムの弾性率、耐熱性の評価/名古屋市工業研究所/足立廣正
高減衰ゴム“ハネナイト”において、粘弾性測定装置による動的圧縮弾性率は静的圧縮弾性率より大きく、静的圧縮弾性率、硬さと正の相関関係にあった。また、動的圧縮弾性率の時間変化から求めた温度と時間との関係式から耐熱性の評価ができることがわかった。
○オンサイト潤滑油診断可搬型潤滑油診断装置の開発/トライボテックス/神谷 徹・川畑雅彦・宮田 昇/東京電力/大山賢一
トライボロジーを活用した潤滑油診断法は、摩耗粒子を評価パラメータとして設備状態を非分解で評価し、点検周期の延伸化等に役立つ診断技術である。本研究では、これまで高度なテクニックと知識が必要であった診断技術を、現場で活用可能とする簡易診断システムを開発し、評価した。
○矩形バースト波を用いた非接触空中超音波検査技術/ジャパンプローブ/高橋雅和・馬場比路志・星野秀和・小倉幸夫・高橋 修
矩形バースト超音波はパルス超音波に比較して強力なパワーが出せること、周波数や波数が容易に可変でき最適探傷条件を見い出し易いなどの利点がある。矩形バースト波を用いた非接触空中超音波探傷(Non Contact Air Coupled Ultrasonic Testing 以下NAUTと呼ぶ)の基礎実験結果と各種の応用例について紹介する。
○機械装置の危機管理(その2)/東京都立産業技術高等専門学校/古川純一
エレベータ、エスカレータは我々の身近な乗り物であるが、一つ間違えると、殺人マシーンと化すことがある。最近の事故事例では、その原因は「利用者の危険な乗り方」であることが多い。利用者として、設置者として、事故を未然に防ぐためにはどうすべきか、機械装置の危機管理について考えてみた。
○中性子照射脆化 2/G.Roth・H.Wollenberger・Ch.Zeckau・K.Kucke/〔訳〕今中拓一
γ線照射及び電子線照射したCuにおける転位の固着に関する異なった実験結果は、異なったタイプの欠陥が異なった手法による照射によって、生成されることで説明される。完全に異なった方法で別々の研究室で実験された場合はこの説明が確定的でないことが示されている。
■技術トピックス
〔セキュリティ〕
○NQR爆薬検知装置の開発/海上技術安全研究所/近内亜紀子/日本大学/浅地哲夫
核四重極共鳴(NQR)を用いた爆薬検知装置の開発状況について紹介する。空港等におけるX線による手荷物検査に、NQR爆薬検知装置を併用することによって、誤検知率の著しい低減と検査精度の向上が期待されることを示した。
〔環境〕
○レーザ光によるCO2濃度計測/三菱電機/亀山俊平・今城勝治・平野嘉仁・上野信一
レーザ光によるCO2濃度計測方法として、DIAL(DIfferential Absorption LIDAR)について説明する。計測原理について説明した後、我々が考案したCW変調方式と称する新しいシステム方式について説明するとともに、この方式の原理実証を目的として開発した地上検証モデルについて紹介する。
〔プラント〕
○X線画像処理によるボイラのき裂評価技術/三菱重工業/取違正明・青木清隆・宮澤敬之・茶園 聡・和田恭子
ボイラの火炉壁には種々のき裂が発生するが、き裂を検査するよい方法がなかった。そこで、デジタル化したX線像を画像処理することによりき裂を検出し、健全部とき裂部の輝度差からき裂深さを評価する技術を確立したので、実機適用事例を含めて紹介する。
〔土木〕
○コンクリート構造物 最近のRT応用/日本X線検査/加藤 潔
近年、内部の様子を視覚的に確認できるRTの有効性が広く認知されるようになり、RTの応用技術をコンクリート構造物の調査に積極的に利用しようという動きが高まっている。そのような動きを踏まえ、RTの適用の現状と可能性について解説した。
■製品ガイド
○厚さ計
○膜厚計