■特集:変わりゆくレーザ・ビーム加工
○マスク転写光硬化樹脂を用いた光配線接続用マイクロ光部品/東海大学/三上 修
電気配線を光配線に置き換える光インターコネクションが重要である。このためには、簡易で高い結合効率を実現する光接続技術が求められている。大学で開発中の、光硬化性樹脂を用いたマスク転写法により作製した光配線接続用マイクロ光部品について紹介する。
○レーザ光を用いた金属粉末の焼結技術/金沢大学/古本達明・上田隆司
金属粉末を用いた微細で高精度な積層造形技術の確立に向けて、粉末の熱伝導率やレーザ光の吸収率を測定すると共に、焼結構造物の状態を測定・分析して、レーザ焼結メカニズムを検討した結果について述べられている。
○レーザと集束イオンビームの複合加工/東洋大学/廣木 聖・吉田善一
マイクロガラスレンズ用の金型材料として、近年グラッシーカーボン(GC)が注目されている。我々は、このGCにマイクロ金型を効率的に作製することを目的に、レーザによる形状加工と集束イオンビームによる仕上げ加工を行ったので報告する。
○フェムト秒レーザーによる微細塑性加工法/静岡県工業技術研究所/鷺坂芳弘
フェムト秒レーザの誘起衝撃波を利用した微細な塑性加工法として「かしめ接合」と「輪郭転写」を考案した。本稿ではこれらの加工原理および基礎的な加工特性について解説する。これらと既存のレーザ加工を複合化することで新たな微細部品の製造が期待できる。
○レーザー・集束イオンビーム複合加工機の開発/長野県工業技術総合センター/山岸 光/東洋大学/吉田善一
レーザと集束イオンビームを複合させた加工機を開発した。この加工機には、3種類のレーザ、集束イオンビーム、AFMなどが搭載されており、工作物の着脱無しで、ミリメートルからセンチメートルスケールの広面積に、ナノメートルからマイクロメートルスケールの加工ができる。
○集束イオンビーム加工用局所真空装置の開発/平出精密/増澤恒明/東洋大学/吉田善一
ワークを大気中にセッティングしたまま集束イオンビームによる加工を可能とするため、局所的に真空空間をつくり出す装置を開発した。この装置はワークと一定のギャップを設けた状態で その表面を部分的に真空状態にし、FIBでの加工を可能にしている。
■解説
○小動物用高分解能in vivo-CTシステムの開発/理化学研究所/世良俊博
薬剤開発には、小動物を用いた動物実験が必要であり、生きたまま高分解能で体内を撮影することが重要である。本研究では、X線原に放射光を用い、呼吸・心拍同期によってモーションアーチファクトを軽減した小動物用 in vivo-CTを開発し、さらに心臓や肺の動きを可視化した。
○フォトニック結晶の偏光計測デバイスへの応用/フォトニックラティス/川嶋貴之・井上喜彦・佐藤 尚
ミクロンサイズで集積化されたフォトニック結晶微小偏光素子とイメージセンサを融合することで、偏光の2次元情報を一度に計測できる偏光イメージセンサと、それを応用した偏光計測器について紹介する。
○ラミナー型回折格子の回折効率/島津製作所/笹井浩行
軟X線領域用ラミナー型ホログラフィック回折格子を製作し、波長0.6~6nmでの絶対回折効率を実測した。また、各種回折効率計算ソフトによりシミュレーションを行い、実測値との比較を行った。本稿ではこれらの測定結果と計算結果について報告する。
■ナノテク最前線
○新しい光磁気機能を発現する酸化物ナノシートとその応用/物質・材料研究機構/長田実・佐々木高義
筆者らは、酸化物ナノシートという二次元ナノ物質に注目し、このナノ物質をベースとした新しいナノスピントロニクス材料の開発とその応用に関する研究を推進している。本稿では、最近開発した分子レベルの厚さの強磁性半導体ナノシートの特徴と共に、この材料で実現するユニークな光磁気機能について紹介する。
■日本産業を活性化させる大学発ベンチャー企業
○光産業を北海道から世界へ/フォトニックサイエンステクノロジ/小林壮一
■製品技術紹介
○高出力・高周波数安定化He-NeレーザYS-307/日本マイクロ光器/横山修子
○レーザ測定装置/VES/早川稔
○カルニュー精密屈折計/島津デバイス製造/松枝義勇・清水健一郎・金田良平・山田勝人・岩崎江美子・近藤直哉・木下律志・澤柳伸彦/島津製作所/佐藤健・岩井信之
■研究室紹介
○東京工業大学 荒井・西山研究室/東京工業大学/西山伸彦