■特集:地球温暖化問題に関する国際的な取り組み 2
○ウクライナ国キエフ州の埋立処分場からのメタンガス回収・利用のプロジェクト/清水建設/八塩 彰
本プロジェクトは埋立処分場から発生し、空気中に放出され、地球温暖化に悪影響を与えているメタンガスを回収し、天然ガスの代替燃料として、地域暖房のボイラプラントにて有効利用するとともに、排出権(ERU:Emission Reduction Unit)を獲得することを目的としている。
○インドネシア・中部ジャワ州おける木質バイオマス発電プロジェクト調査/住友林業/池田 淳
本CDM事業実現可能性調査は、中部ジャワ州のパーティクルボード工場において、ディーゼル発電の代替として木質バイオマスボイラーと蒸気タービン発電機を導入し、年間CO2換算約1.5万トンの温室効果ガス削減を目指すプロジェクトについて実施した。
○カンボジアの精米工場における籾殻コージェネレーション発電事業/三菱UFJ証券/吉高まり
カンボジア初のバイオマス発電事業の同国初のCDM事業として実施。NEDOの排出権買収補助金により、来年稼働開始予定。日本の温室効果ガス排出削減とカンボジアの復興と貢献するWin-Winの事業を三菱UFJ証券が支援。
○天津市経済技術開発区 省エネルギー活動へのプログラムCDMスキーム/イー・アンド・イー ソリューションズ/池 知彦
中国天津市の天津経済技術開発区(TEDA)では、石炭焚きボイラーを用いて各工場への熱供給を行っているが、ドレン回収を行っておらず、大量のエネルギーのロスとなっている。この放出されているドレンの回収をプログラムCDM化というスキームを利用することで、上記問題の解決を図る。CDMによるクレジット収益を総合的な省エネルギー推進プログラムに使用するというプロジェクトの計画について概説する。
○タイ・ピピ島における燃料電池を用いたバイオマス発電システム事業調査/KRI/若山 樹・藤間義人・久我幸史
本プロジェクトは、タイ国ピピ・ドーン島に立地している離島リゾートから排出されるし尿、厨芥などのバイオマスからメタン発酵によってバイオガスを発生させ、そのバイオガスを、既に商品化されている国産燃料電池であるPAFCに導入して発電を行い、離島リゾートの電気・熱需要を賄うものである。
○ベトナム・タイニン省における澱粉加工工場メタンガス回収エネルギー供給事業/東芝/波多野晶紀・南小路彩
ベトナムの澱粉加工工場の既設排水処理設備である開放型ラグーンからは温室効果ガスが大気放散されている。その削減対策として、既設ラグーンの前段に嫌気性消化槽を追加し、バイオガス回収・エネルギー利用するCDMプロジェクトを紹介する。
○中国・新疆ウイグル自治区トリ地域第2期風力発電事業調査/みずほ情報総研/佐々木誠夫
本件は中国・新疆ウイグル自治区において100MWのウインドファーム計画がある。そのうち第2期である30MW風力発電事業を行うものである。第1期の30MW風力発電事業は既に開始されておりCDM化のための準備支援を行うものである。
■フィールドレポート
○東桜地域冷暖房熱の概要/東邦ガス/大口明宣
当社の運営する東桜地区地域冷暖房は、名古屋市の中心部に位置し、平成17年度からオフィスビル及び地下街に熱供給を行っている。プラントはガスタービンコージェネレーションをはじめとした都市ガス設備で構成され、地域の省エネ・省CO2に貢献している。
○名駅地区地域冷暖房の熱源ネットワーク化/東邦ガス/清水玄英
当社の運営する名駅南地区地域冷暖房と、DHC名古屋(株)が運営する名駅東地区地域冷暖房を配管で接続してネットワーク化し、平成20年6月から熱融通の運用を開始した。両プラント間において、冷熱や蒸気を融通することにより、さらなる省エネルギーやCO2削減を目指している。
○ドームシティガスビルの長期的維持管理/大阪ガス/植田浩文・岡 克己
ドームシティガスビルは地域冷暖房を受け入れるオフィスビルとして計画され1996年3月に竣工した。竣工以降10年にわたる維持管理の状況、および入居者、管理会社、設計者、施工者の協力によるビル使用形態の変化に応じたボトムアップ型のチューニングについて紹介する。
○非食用植物ヤトロファで離島燃料/沖電設計/鳩間國弘・比嘉直人
多くの離島か抱える沖縄地域では、主にディーゼル発電によって離島の電力供給を行っている。次世代燃料として注目される非食用油植物ヤトロファの精製油をFAMEにすることなく、直接利用することに期待をかけ、研究開発を実施している。
○マ・マーマカロニ(株)におけるESCOを活用したコージェネ導入事業/マ・マーマカロニ/小曽戸秀夫/エネルギーアドバンス/鳴瀧匡彦
日清製粉グループではCO2削減に積極的に取組を行っており、グループの一翼を担うマ・マーマカロニ(株)宇都宮工場においてエネルギーアドバンスのESPを活用し、新規のCGS導入を行った。本稿では、そのCGS導入の背景、経緯や効果について紹介する。
■シリーズ:環境共生建築
○トヨタ自動車 本館/日建設計/田中宏明
トヨタ自動車本館では、環境配慮に対し先駆的な取り組みを実践している企業の本社として、世界トップレベルの環境性能を実現することを目標とした。本誌では、建築デザインと融合した環境配慮技術、保全性設計施工手法の開発などを中心にその内容を紹介する。