■解説
○テラヘルツ波による爆発物と引火性液体の探知/福井大学/山本晃司
物質に対する透過率の高さと物質固有のテラヘルツスペクトルを利用することによって、光で検査不可能な不透明な物体やその内部をテラヘルツ波によって検査することができる。本稿では、テラヘルツ波パルスを用いた最近の応用研究のうち、爆発物や引火性液体の検査応用について解説する。
○腐食による損傷の事例と原因・対策/住友金属テクノロジー/小出賢一
腐食による損傷には、構造設計や加工方法の不適など多種多様な原因があるため、過去の腐食事例を参考にし、原因を解明し防止策を考える必要がある。本稿では、腐食損傷に関する解析手法、形態と特徴、原因と対策を紹介する。
○石油精製における静機器検査へのFMS-IT(電位差法)の適用/新日本石油精製/朝日大介
長期連続運転が志向される石油精製の機器・配管検査にFSM-ITを適用し、対象部位のモニタリングを行い、精度を検証した。また、点検対象を絞り込むスクリーニング的手法にも応用可能であることから、実証試験を行い適用可能性を検討した。
○3次元フェーズドアレイ超音波探傷システム/日立製作所/北澤 聡・河野尚幸・馬場淳史・安達裕二/日立GEニュークリア・エナジー/小田倉満/日立エンジニアリング・アンド・サービス/菊池 修
二次元アレイセンサによる超音波集束ビームを三次元的に走査する三次元フェーズドアレイ法は、従来法に比べ欠陥検出性が向上し、検査時間も短縮できる。本稿では、三次元フェーズドアレイ超音波探傷システム3D Focus-UTの概要を述べ、いくつかの適用事例を紹介する。
○JFAS画像処理における3D/3次元解析システム/日本FAシステム/可児直行
日本FAシステム(JFAS)の高性能光学技術と測定専用センサ、JFASが得意とする超高速画像処理を応用した3次元立体計測と傷、欠け等の検査の実際。またサブミクロンにいたる平面上の超精密表面粗さや欠陥の検査、透明液体の検査システムなどその応用例を紹介する。
○超音波法によるクリープ損傷の非破壊評価/非破壊検査/長野芳浩/ポニー工業/横野泰和
クリープ損傷が懸念される稼働中の高温機器に対し、クリープ損傷をモニタリングする手法として、高温クリープ試験中での縦波音速法及び縦波後方散乱波法の適用を検討し、機器稼働中におけるクリープ損傷評価法について検討を試みた。
■技術トピックス
〔医用〕
○脳波で動く車いす/電気通信大学/田中一男
近年、脳と機械やコンピュータを直接つなぐインタフェース技術として、Brain-Machine Interface (BMI)に関する研究が注目を浴びている。筆者らは脳波を利用した携帯型BMIシステムの試作を行っている。本稿では、筆者らが開発してきた携帯型BMIシステムとして、脳波による電動車椅子の制御システム(脳動制御システム)を紹介する。
〔土木〕
○ICタグで排水配管の施工を検査/大林組/金子智弥
ICタグを埋込んだ試験体を利用して、建築工事における排水配管の施工状態の検査を効率化するシステムを開発した。これによって、排水経路の判定・排水時間の測定・報告書の作成などが自動化され、検査作業の大幅な省力化が実現した。
〔建築〕
○電気探査法を応用したRC構造物の鉄筋腐食状態の推定/関西興産/露口雄次/社会基盤技術評価支援機構・関東/町田篤彦
電気探査法(直流比抵抗法と強制分極法)を用いて、RC構造物の鉄筋位置と腐食状態を非破壊で推定する基礎的研究を実施した。測定は高精度化と現場適用性の両面を考慮して、新たに開発した携帯型電気測定装置を用いて行った。実験では、鉄筋位置と腐食状態の差異が、RC構造物の電気的性質(見掛け比抵抗と見掛け充電率)に与える影響を検討した。
■連載:広帯域超音波探傷とデジタル超音波探傷器(6)
○デジタル超音波の基礎知識 2/松山 宏
デジタル探傷器の多彩な機能として、エコーの図形や波形を自由に選択できるメリット、エコーの位相による超音波伝搬ルートの識別、周波数領域応答と時間領域応答を同時測定による反射源形状の推定などを、実例を用いて説明した。
■製品ガイド
○非破壊検査システム