/日本工業出版(株)/

プラントにおいて安全性が求められるのは、通常の設備と比べて様々な危険が存在していることに他なりません。普段接する機会さえない高温高圧が存在し、原子力のように一般的にも危険性が認識されているものありますが、一般の建設現場と同様の危険性や、あらゆる設備においてみられる経年的な劣化など含めるとそのリスクは膨大なものと言えます。
本特集では、様々なプラント分野における安全について、設計、労働安全、有効な技術などの角度から解説しております。

B5判　本文88ページ
2024.3.15

〔総論〕
◆構造設計における安全性について/日本ニューロン㈱/管路防災研究所/小池　武
FEM解析結果の間違いや妥当性は誰が判断できるのか?また、都市ライフラインのようなインフラ全体システムとその部分システムである構造物およびその構成要素部材の安全性の整合性を誰がどう把握するのか?といった、構造設計における安全性を考える上で生じるいくつかの疑問について、現状の課題,解決策などについて議論する。

〔原子力〕
◆設計想定を超える事象に対する原子力プラント安全/東京大学/佐藤拓哉
筆者がこれまで本誌で投稿してきた連載講座「設計想定を超える事象に対するプラント安全のための性能要求と受動安全構造の適用によるレジリエンス向上」の⑵～⑸より原子力プラント安全について抜粋したものである。

〔耐震設計〕
◆配管系の耐震安全性の目標/E&Sコンサルタント安藤/安藤文雄
配管系の耐震安全性の目標とその目標を達成するための耐震設計の内容について、代表的な手法である簡易法と詳細応答解析法(修正震度法)などについて解説する。

〔強度設計〕
◆発電プラントのタービン系配管における強度設計/東芝プラントシステム㈱/松井彩徒
配管に生じる応力の基本的な考え方から、内圧を受ける管の強度評価方法について発電プラントにおける各規格での計算方法・係数の解説を行い、エルボ・外圧を受ける管の強度評価方法について紹介する。

〔安全計装〕
◆プロセスプラント設計におけるLOPAの基本/日揮グローバル㈱/原　信幸
石油精製・石油化学プラントといったプロセス系プラントの設計では、LOPA(LayerofProtectionAnalysis)手法を用いて安全性を評価し、その結果に基づき安全計装システム(SIS:SafetyInstrumentedSystem)の安全度水準(SIL:SafetyIntegrityLevel)を決定している。本稿では、その基本的な考え方、手順を紹介する。

〔労働安全〕
◆プラント安全管理の実務/池田和人技術士事務所/池田和人
プラント現場を抜けなく管理するためには「切り口」を知っておくと便利である。本報では、プラント現場の安全管理に有用な「切り口」を適宜織り交ぜながら、プラント現場の安全管理のコツを解説する。

〔地震被害〕
◆大地震によるガス・石油インフラへの影響と安全対策/LNG経済研究会/奥田　誠
天災や人災によるエネルギーインフラへの被害をゼロにすることは不可能であるが、早期復旧のための体制を整えておくことは肝要である。本稿では、事前の発生予知が非常に困難で、発生により特に大きな被害を及ぼす大地震について、過去の被害事例や対策などの概要を紹介する。

〔機能安全〕
◆機能安全と国内での安全計装システムの動向/横河電機㈱/櫻本達三
安全計装システムの、最新の国内動向と導入による効果を、従来型のリレー回路による緊急遮断システムとの違いを比較しながら、ProSafe-RSLiteBasicSystemを例にして紹介する。

〔防爆〕
◆自己制御ヒータの各種規制と最近の動向/㈱エイ・ケー・ケー/神田正之
自己制御ヒータは、オーバーヒートしないという安全性を有するが、日本国内で実際に使用する際には、電気事業法、労働安全衛生法、消防法等の関連が複雑に絡んでいる。本稿では自己制御ヒータの特徴を解説するとともに、その関連法規について説明し、関連法規全体の有り方について、問題提起する。

〔漏れ防止〕
◆飛散防止安全シールド/㈱アキツ/藤本義之
日本国内のプラントの継手の多くは、カバーなどの漏洩時に飛散を防止する対策が装着されていないのが現状である。本稿では、危険流体や高温蒸気を扱うプラントで導入実績を有する『飛散防止安全シールド』について紹介する。

〔耐振〕
◆耐振うず巻形ガスケット/㈱バルカー/高橋聡美
振動や曲げ応力などの外力に強く、密封性能が優れるPTFEフィラー耐振うず巻形ガスケット「No.7596A」及び汎用品である膨張黒鉛フィラー耐振うず巻形ガスケット「No.6596A」を紹介する。

〔サンプリング〕
◆安全かつ効率的で正確なアンモニア・サンプリング方法/スウェージロック社
スウェージロックが、アンモニア・サンプリングの困難なプロセスが、効率的な運用の妨げとなる理由と、アンモニア測定専用のサンプリング・システムによって工場の安全性、正確性、効率を向上させる方法を紹介する。