/日本工業出版(株)/

■解説
〔展望・解説〕
○今後の石油・天然ガス市場における注目点
/(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構/野神隆之
天然ガス液化施設は長期契約に見合う分だけ建設されていくのが経営判断として合理的であることもあり、将来的にLNGのスポット供給が大幅に増加していくとは考えにくく、従って例えば米国で増産されつつあるシェールガスがLNGとして国外に大量に輸出されることによりアジア太平洋地域で価格競争が発生するといった展開となる可能性は少なくとも短期的には低いと見られる。他方、原油は天然ガスに比べて市場における流動性が高い分、米国でのシェールオイル増産の世界市場に与える影響は相対的に大きいと考えられる。

○浮屋根式タンクへのアルミドームの適用/横浜国立大学/吉田聖一
既設浮屋根式タンクの大気汚染防止のために設置されるアルミドームについて、目的、現状、歴史、構造、設計基準を紹介する。

○水道管路の更新と耐震化
/(一社)日本ダクタイル鉄管協会/長坂富雄・森田真子
本稿では、東日本大震災の水道管路被害について触れ、水道管路の重要性と、大量に埋設された経年管の更新を踏まえ、解決策の一つである新耐震管(GX形ダクタイル鉄管)について報告する。

○超電導ポンプで液体水素の移送に成功
/九州大学/柁川一弘/京都大学/中村武恒
/(独)宇宙航空研究開発機構/小林弘明
本稿では、超電導線材を用いて製作した液体水素用の液位センサおよびモータの概要について説明する。また、両者を組合せた液体水素移送用の超電導ポンプシステムの概要と試験結果についても紹介する。

〔設計〕
○地震センサを利用したプラントの地震防災/アズビル(株)/井端一雅
東日本大震災を契機に、地震防災が話題になっている。このため、いまさら震度の定義や震度と加速度の関係といった基礎的なことが、聞きにくくなっている。そこで、地震の基礎から最新の地震防災の考え方まで、概説してみたい。

○プラントの振動と騒音/アズビル(株)/山本博司
調節弁の振動・騒音の発生は、弁自体を損傷させるだけでなく、プラント操業にも多大な影響を与える場合が多い。本稿では最新の規格動向と実際に発生した場合の対処方法および当社がこれまで経験した事例を紹介する。

〔運転・管理〕
○保温材の活用を目指した保水性パネルについて/関西電力(株)/羽田雄一
本稿では、再使用できなくなった配管保温材の新たなリサイクル手段として開発した、保水性パネルの概要、使用例に対する実証試験およびその結果を紹介する。

○大幅な省エネに貢献する小型蒸気圧縮機/(株)神戸製鋼所/松井孝益
従来再生利用が難しかった低圧フラッシュ蒸気を昇圧し、プロセスで使える蒸気に低コストで再生することができるスクリュ式小型蒸気圧縮機MSRC160Lを開発したので解説する。

■特集:下水汚泥利用
○下水汚泥からのリン回収
/神戸市建設局/坂部敬祐・瀧村豪・東真昭彦・内海秀人
肥料の3大要素の一つであるリンは、国際的に枯渇が懸念されており日本は全量を輸入に頼っている。神戸市ではこの貴重資源であるリンを下水(消化汚泥)から回収する実証実験を始めた。本稿では本市の取り組みを紹介する。

○下水汚泥の固形燃料化とその利用/電源開発(株)/秦一貴
本稿では、バイオマス資源である下水汚泥の固形燃料化と、低温炭化燃料化技術の概要を解説し、今年度から供用開始した広島市西部水資源再生センターにおける下水汚泥燃料化事業について紹介する。

■連載:世界のLNG輸入国と輸出国　第9回
○LNG輸入国:カナダ・メキシコ/慶應義塾大学/吉武惇二
米国に隣接するカナダとメキシコは、天然ガス需給に関して、陰に陽に米国の影響を受けている。昨今のシェールガス革命により、カナダ西部の天然ガス生産者たちは、従来の米国への天然ガス輸出をアジア諸国へのLNG輸出に転換を迫られている。一方、メキシコのLNG輸入は順調で、今年3月、メキシコ第3番目のマンサニージョLNG受入基地が稼動を開始した。

■製品技術情報
○大入熱溶接が可能なリーン二相ステンレス鋼
/新日鐵住金ステンレス(株)/岩崎央・及川雄介
本稿では、大入熱溶接が可能なSUS304代替二相ステンレス鋼「NSSC2120」について、溶接性を大幅に改善した基本技術を概説し、商品特性、材料規格化の状況、および適用用途と今後の展開を述べる。

○マグネットカップリングポンプについて
/(株)小坂研究所三郷工場/鈴木守
本稿では、三軸スクリウポンプとマグネットカップリングの構造、特徴を解説し、シールレスポンプとしてのマグネットカップリングポンプの構造、特徴や主な仕様を紹介する。

○設備診断支援システムA-MIS LOG-BOOK/日揮プランテック(株)/折茂史教
A-MIS LOG-BOOKは、設備診断支援システムA-MISで管理している図面や仕様情報を活用し、肉厚測定データを取り込むことのできる現場端末である。本稿では、A-MISの概要と共にA-MIS LOG-BOOKの開発経緯と機能を紹介する。