■特集:食物の安全対策とその課題
○食品工場の食中毒事故の傾向と対策/東京顕微鏡院/伊藤 武
国内における微生物による食中毒事故は毎年700件(患者数約1万名)である。最も発生件数が多いのはノロウイルスで、次いでカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオである。それぞれの病原微生物に対応した対策が必要である。
○食品安全に必要なシステムとは/ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド/坂下琢治/近畿大学/米虫節夫
食の安全を保証する仕組みつくりとともに、いかに安全を安心に変えるかも重要なことである。本稿では食品衛生7S、ISO22000、さらにFS31000を中心に、食品安全に必要なシステムの構築と運用について概説する。
○食品アレルゲン検査/オリエンタル酵母工業/矢野竹男・酒井裕美子
食物アレルギー患者への健康危害の防止および社会生活の向上を目的として、平成14年より食物アレルギー表示が実施されている。本稿では、食品アレルギー物質の検出法の開発を行う上での困難性、ならびに検出法の有用性と注意点に関して報告する。
○食物の安全・安心に向けた食品検査/カルビー/古賀秀徳
アレルギー物質(特定原材料)の表示に向け、食品中の特定原材料の有無について検査を実施してきている。その検査方法の概要および取り組んでいる検査業務の一端を紹介するとともに、その業務の中での困り事についても紹介する。
○食物アレルギーを取り巻く制度の現状と課題/東京大学/神奈川芳行
食物アレルギー患者の健康被害防止のために、平成13年4月に食品衛生法が改正され、アレルギー表示制度が開始された。その後、食品中のアレルギー物質の検知方法の開発や、実態調査等に基づく表示対象物質の追加がなされているが、同制度の現状と今後の課題について解説する。
○環境化学発がん物質とその閾値/中央労働災害防止協会/福島昭治/大阪市立大学/魏民・梯アンナ・鰐淵英機
ラット発がん実験から、遺伝毒性発がん物質には閾値があると結論する。非遺伝毒性発がん物質の中には発がんホルミシスを示すものがあり、確実に閾値が存在する。これらの事実は食品に含まれる化学物質の発がんリスク評価のみならず、リスク管理に大いに貢献する。
■コーヒーブレイク
○2つの課題を抱える将来の半導体製造/服部 毅
■小特集:ナノテクノロジー最前線
○ナノ粒子及びナノ構造体材料の合成と課題/広島大学/奥山喜久夫・Ferry Iskandar
各種のナノ粒子材料について、現在企業から入手できる種類と大きさを紹介し、合成法の課題を述べた後、ナノ粒子材料のポーラス化、薄膜化、コンポジット化などの構造化における現状と課題を述べ、ナノ粒子材料をハンドリングする単位操作の重要性を紹介する。
○吸入によるナノ粒子の呼吸器沈着/放射線医学総合研究所/山田裕司
エアロゾルと呼ばれる空気中に浮遊する微粒子は、呼吸を介して体内に取り込まれる。呼吸器への沈着はエアロゾル性状や呼吸生理状態などによって異なるため、吸入による健康影響を考えるに当たっては、先ず呼吸器内への沈着様式やその特徴を知ることが重要である。
○ナノテクの安全性と国際標準化/産業技術総合研究所/川崎 一
国際標準化機構では、ナノテクの用語や計測技術の標準化とともに安全性についても議論されている。経済協力開発機構でも工業用ナノ物質の安全性や管理について議論されている。ここでは、これらの国際機関でのナノテクの安全性に関わる議論について紹介する。
■研究室紹介
○東京エレクトロン 技術開発センター 汚染制御グループ/東京エレクトロン/松井英章
■解説
○病院環境における空気調和設備の設計/日本設計/井田 寛
本報では設計の立場から病院の空気調和計画における特徴のひとつである院内感染に対する空調計画例を紹介する。はじめに感染症の分類と感染経路について述べ、各室の洗浄度についての指針を紹介する。設計例として、一般病棟、クリーン病棟、感染病棟、手術部、特殊排気部門を示し、特に病棟空調計画については日和見感染対応の空調システム、シミュレーションモデルを紹介する。
○病院環境における気流の計画/東京大学/成 旻起・加藤信介
病院の病室での室内気流の設計に際しては、気流により感染性の汚染物質や臭気などが室内に拡散するリスクを評価しこれの低減を検討する必要があろう。流体シミュレーションを用いた病室の気流検討の事例を紹介する。
■製品紹介
○半導体製造装置の諸元集計システム/富士通四国システムズ/仙波啓道/富士通マイクロエレクトロニクス/高田友之
■企業シリーズ
○超純水トレース用溶存酸素計/スワン・アナリティカル・ジャパン/福田愛二
■基礎講座:分かりやすいクリーンルームの管理手法 6
○これだけは身に付けたいクリーン化技術の基礎知識(その6)/三菱電機/園田信夫