■解説
○ライナックを使った断熱材下の外面腐食検査/東京大学/上坂 充・夏井拓也・山本智彦/アキュセラ/田辺英二・中村直樹
法規に沿った局所遮蔽で屋外で使用可能な950kev可搬型電子ライナックX線源を開発中である。鹿島石油コンビナートのオフラインの断熱材付きの配管の腐食部のオンサイト非破壊検査に適用する。検査精度は1mmである。
○ナノインデンテーション試験法による材料評価/物質・材料研究機構/大村孝仁
ナノインデンテーション法と呼ばれる微小領域の力学特性評価技術を紹介する。数10nm~数100nmを測定対象とし、荷重―変位関係から材料の機械的性質を評価する。塑性硬さの他に弾性定数も測定できる。種々の鉄鋼の強化機構解析に応用した例を示す。
○在来線用車軸車輪座の疲労強度評価/鉄道総合技術研究所/佐藤康夫・山本勝太・石塚弘道
在来線車両用焼ならし車軸の探傷の周期および方法などの適正化を図るための一資料を得る目的で、車軸疲労試験装置を用い実物大車軸の疲労試験を実施し、車輪座に発生する亀裂の進展性について、破壊力学の手法を用いて評価を行った。
○五感情報通信技術の現状/東京大学/廣瀬通孝
五感情報通信技術とは、これまで視覚や聴覚に限定されてきた情報通信インターフェースを五感すべてに拡大しようという技術である。本稿では、五感ディスプレイ、五感センサーなどこの技術の最近の動向について概説する。
○大型化が加速する液晶パネル用検査装置/日立ハイテクノロジーズ/南 博文
液晶のアプリケーションの主役がPCからTVへ移り変わるとともに画面の大型化と価格の低下が進行し、より効率よく生産するためにマザーガラスの大型化が加速している。大型化が進む最新の液晶パネル製造ラインに対応したガラス基板検査装置について紹介する。
○西洋古典絵画の非破壊分析/情報通信研究機構/福永香・寳迫 巌
テラヘルツ帯を用いた分光は新しい非破壊検査技術として隠匿危険物の検出等に実用化されつつある。西洋古典絵画は様々な物質の混合物でそれらの同定にもテラヘルツ波分光が有効である。今後スペクトラルライブラリ構築が重要である。
■技術トピックス
〔交通〕
○摩擦調整材車上噴射による車輪/レール間摩擦制御手法の開発/東京地下鉄/留岡正男
車輪とレール間に発生する摩擦力は車両運動特性に大きな影響を与え、さらに車輪踏面損傷、レール摩耗等の諸問題と直接関連する。これらの問題解決のため、ポジティブなクリープ特性の摩耗調整材に着目し、各種試験を行い車両への実用化に至ったので報告する。
〔材料〕
○塗装/塗膜の自動外観検査の新アプローチ/テクノス/山田吉郎
目視116.5倍の微細欠陥、14倍以上のムラ検知能力をもつ「ニューロ視覚センサスーパー5000K」の「確実性の原理」「ムラの検知原理から検知精度、目視同様な点と線検知能力、凸凹とムラの同時検知、最新技術の時空トライアングル」の解説。
〔土木〕
○鉄筋探査における電磁波レーダーの最新技術/日本無線/石井 武
コンクリート構造物の品質は、施工状態(鉄筋の配筋状態や空洞の有無等)によって大きく左右される。本稿では、コンクリート内部を非破壊で探査出来るRCレーダーについて、日本無線(株)のNJJ-95Bハンディサーチをもとに、その最新技術を概説する。
〔エネルギー〕
○取水口へのクラゲ来襲の検知技術の開発/中部電力/杉山陽一
発電所取水口へのクラゲ流入量を削減するために、魚群探知機を応用したクラゲ来襲の早期検知手法を開発した。この手法は魚探画像の特徴をパラメーター化してクラゲの有無を判定するものであり、現地実験によりクラゲ検知の精度を確認した。
■検査機器
○電磁超音波共鳴法による超音波減衰測定装置の開発/日本テクノプラス/浅野鐵夫・花川正人・脇田博行・児玉 功
電磁超音波共鳴法は、超音波減衰の絶対測定が可能である。今度、現場用小型共鳴スペクトル装置に超音波減衰記録装置を付加し、超音波減衰計測システムを新たに開発した。そして、各種バージン材で共鳴周波数毎の減衰係数を求めた。
○AEセンサによるオンマシン計測と活用/村上技研産業/村上 功
AEセンサーを実用化に結び付けようと、30年の歳月を重ね研究してきた。工具破損検出、研剤盤におけるギャップエリミネーター、金属製品の製作時におけるワークの亀裂進行の検出などの応用例を重点的に記してある。
■シリーズ:脆化について考える10
○圧力容器鋼の照射脆化機構1/今中拓一
力学的基礎に依拠した中性子照射損傷に関する研究は、圧力容器用鋼の脆化を保障する条件を与える。この報文の中心的テーマは、照射誘起微細組織を特徴化するのに必要な実験的手法を提案することにある。
■製品ガイド
○非破壊検査システム